今回の鳥を学ぶシリーズは、日本アルプスにすむ氷河期の生き残り「雷鳥」について学んでいきます。
絶滅危惧種に指定されていますが、日本アルプスの山々を登っているとよく見かけます。
雷鳥は氷河期の生き残りで北半球の北部と一部山岳地帯で分布し、日本が生息地としては最も南に位置しています。北アルプスや南アルプス、妙高山などのハイマツ帯に分布し、近年は温暖化により生息地が狭まったことと、天敵の増加によりその数を減らしています。
周囲の環境に応じて羽毛が生え変わり、オス・メスとも夏は黒褐色となり冬は雪に合わせて真っ白に近くなります。
一年中高山帯で生活し、ハイマツの根元のなど地上のくぼみに営巣します。積雪期には木陰や雪に穴を掘りねぐらとします。
食性は、ほとんど植物食で地上を歩きながら草木の葉、果実、種子などを食べます。ハイマツ周辺の登山道では、ライチョウが食べたハイマツの実の食痕をよくみかけます。
また、これら消化しにくい樹木や草の葉、新芽、果実を食べるためなのか鳥類としては比較的大きい30cm以上もの盲腸を持っています。これは同じような食性の他のキジ類よりも大きく、高山という食糧事情が乏しく厳しい寒さもある高山という環境において、その大きな盲腸で消化しにくい食べ物を食べられるようになる術を身につけることで、今まで生きながらえてきたのです。
1955年に特別天然記念物に指定され、長野県・岐阜県・富山県では県鳥にしてされています。
平安時代より霊(ライ)の鳥として、歌にも詠まれてきました。江戸時代以降に霊が雷となりましたが「雷のように鳴く」「雷よけになる」など名前の由来には諸説あります。
かつては中央アルプスや八ヶ岳、蓼科山にも生息していましたが、いずれも観光開発や観光客などの増加により絶滅。1960年には富士山において移入が試みられましたが、富士山にはハイマツ帯がなく、身を守り繁殖する場所が確保できなかったためか10年ほどで絶滅しています。
2018年に中央アルプス、木曽駒ヶ岳にてライチョウの卵と巣が発見される(乗鞍岳または、北アルプスから飛来)もほどなく死滅。それを機に2020年より中央アルプスにてライチョウ復活プロジェクトが実施されています。新たな雷鳥の生息地として定着すると良いですね。
分類:キジ目キジ科ライチョウ属 大きさ:約37cm
分布・季節:本州中部で留鳥 生活環境:高山
鳴き声:ゴァーゴァー