富士山を登る植物9合目(9回目):亜高山帯下部
富士山を登る植物について学んでいきます。
このシリーズも9回目。
今回は富士山の標高1600m〜2400m付近に生育する植物たちについて学んでいきます。
このあたりは垂直分布でいうところの亜高山帯の下部にあたり、シラビソやトウヒ、コメツガなど高木の針葉樹が優勢となる亜高山帯針葉樹林のエリアになります。
富士登山における5合目があるのもこのエリアが中心です。
また、富士山の秋の紅葉を彩るカラマツやダケカンバ、ナナカマドも見られ、低木層ではハクサンシャクナゲ、林床においてはコケモモやイチヤクソウ類、また苔類がよく目立ちます。
このようなマツやモミ、トウヒ、ツガなどで構成される森林は、北半球の高緯度地方に一大森林帯を発達させています。
よく知られているのがシベリアのタイガですね。
この森は氷河期とともに日本列島温域帯の山地にまで南下、そのあと氷河期が終わると再び亜寒帯である高緯度地域へ北上しますが、日本の中部地域の寒冷な高地ではそのまま残り続け現在に至っています。
日本の亜高山帯針葉樹林の分布の中心となすのは本州中部の山岳です。
富士山はまさにその位置にあり、日本最高峰に分布するこの亜高山帯針葉樹林は貴重な森となっています。
この森の植生は一般に太平洋側ではシラビソが優占しますが、火山による乾燥・貧栄養な土壌である富士山ではコメツガやカラマツが多く出現します。
日本海側ではシラビソに変わり多雪環境でも生き抜くオオシラビソが優占、北海道ではエゾマツやトドマツが優占しています。
そして、この標高1600〜2400m付近より高度が更に上がると(富士宮5合目やスバルライン5合目より上部)高木はほとんど姿を消し森林限界となります。
その先の植物の話はまた次回。。。。。
富士山で見られる植物:ハクサンシャクナゲ
分布帯:亜高山帯 生育環境:低木層
生活型:常緑低木 樹高:1~2m 開花時期:夏
【白山石楠花】(はくさんしゃくなげ)
その名の通り、富士山・立山と共に日本三霊山に数えられる白山で分布するシャクナゲ。
バナナ大の大きい葉。そして夏には白色から淡好色の花をつけます。
富士山においては山梨県側の北側斜面ではよく見られませんが、
静岡県側の南側斜面でほとんど見ることはありません。
なぜでしょう??
教材資料