ここ数年、毎年のように豪雨による被害が各地で起きています。
せまい範囲で数時間にわたり100〜数百ミリもの大雨が降る気象を「集中豪雨」と呼びます。
この豪雨の原因になるのは積乱雲。
通常、一つの積乱雲の寿命はせいぜい1時間程度。雨量も数十ミリ程度です。その積乱雲が同じ場所で複数発生し続けると集中豪雨になるのです。
そして、複数の積乱雲が次々と発生するメカニズムの一つが「バックビルディング」と呼ばれる現象です。
上空に適度な風の流れがある状況では、新しく発生した積乱雲がその風に流されるようにして風下へ移動します。
発達した積乱雲からは冷たい下降気流が吹き出します。その冷たい空気が地上にぶつかると次第に広がり地上の暖かい空気を上に押し上げて、風上側に新しい積乱雲を生み出します。この新しい積乱雲が更に上空の風に流されて移動して、再び同じ事が繰り返されます。
こうして同じ場所に積乱雲の列ができることでせまい範囲に集中豪雨をもたらし災害が起こる要因となります。
このような積乱雲の列は数百キロメートルに及ぶこともあり「線状降水帯」とよばれます。
上空に適度な風の流れあるという状況があいまいでわかりにくいですが、積乱雲が発生しやすい気象条件の時に、前線や低気圧・台風などの影響があると、集中豪雨が起こりやすくなるということでしょうか。
また、集中豪雨のほかにもゲリラ豪雨という言葉もよく耳にします。これも集中豪雨の一種ですが、正式な気象用語ではありません。
意味としては、せまい範囲で局地的に突然発生する予想の難しい雨で局地的大雨とよばれるものです。
こちらの大雨もその要因は積乱雲。
ただ集中豪雨と違い単独の積乱雲によって発生することもあり、大気の状態が不安定な状況では、少しの上昇気流でも急速に積乱雲が発達することもあるため、逃げ場のない山の稜線にいる時などは特に注意が必要になってきます。
とはいえ登山中に積乱雲が発達しそうだと気付くのもなかなか難しい。それが、霧の中や雲の中にいれば尚更のこと。
そういう意味では事前に天気予報を確認し荒天が予想されるときには迷わず登山を中止するという選択がベストな判断といえるでしょう。
無理は禁物。山では臆病なくらいがちょうどいいのです。
参考資料