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富士山を登る植物:6合目

富士山を登る植物:5合目植物にとって富士山は過酷な山になります。植物が富士山を征服し森林に覆われた山に変化させるのは容易なことではありません。富士山に生きる植物にとっての障害にはどのようなものがあるか?を学んでいきます。まず鍵になるのは種子です。種子のたどりついた場所が生息条件にかなっているかどうかが重要となります。...

富士山は静岡県と山梨県の県境に位置しますが、静岡県側の南斜面においては溶岩流が山頂から駿河湾にまで流れこんでいます。
この駿河湾から富士山までの海抜0mから山頂の高さ3776mに到る高度差によって植物の分布は大きく変化します。

海抜0m付近の駿河湾沿岸付近は、温暖な気候の影響によりかつては常緑樹の照葉樹の森が広がっていました。一方富士山の山頂では、寒冷な気候に加え水分も極端に少ない環境であるため、花を咲かせ種子を実らせる植物は生息できずコケ類や地衣類中心の痩せこけた大地となっています。この高度の違いによる植物のすみわけ 植物の垂直分布について、そして度重なる噴火を乗り越え富士山の森を育んできた植物の世界についてより深く学んでいきます。



植物の分布を左右する主な要素は気温や降水量、そして季節的変化など。

日本列島は温暖な中緯度に位置し周囲を海に囲まれ降水量も十分な地域で、国土の60%以上が森林に覆われる緑豊かな国です。そして富士山はそのほぼ中央にそびえています。

地球は赤道付近の気温が高く北極や南極へ向かうほど平均気温は下がっていくため、植物の分布が緯度により変化します。日本列島でいえば、北海道と沖縄では大きく異なる植生帯となります。これを植物の水平分布と呼びます。

そして、低地から高地、高さの変化によっても気温は変わっていきます。理論上は、高度が100m上がるごとに約0.6度気温が低下します。これにより植物の分布が変化することを植物の垂直分布と呼びます。
そういう意味で駿河湾に面した富士山の南斜面では、海抜0mから富士山頂の最高峰剣ヶ峰3776mまで緩やかに弧を描く植物の垂直分布が観察できる絶好のロケーションになっているのです。

富士山の垂直分布帯の主な植生は以下の通りです。

「富士山の南斜面」田子の浦-富士山山頂

0-800m 低地帯
照葉樹林帯:クロマツ・スダジイ・アカガシ・ウラジロカシ・モミなど。

800-1600m 山地帯
夏緑樹林帯:モミ・ミズナラ・ブナ・ウラジロモミなど。

1600-3000m 亜高山帯
針葉樹林帯:ウラジロモミ・シラビソ・トウヒ・ダケカンバ・ミヤマハンノキなど。

3000-3500m 高山帯
低小草帯:オンタデ・イワスゲ・フジハタザオなど。

3500-3776m 氷雪帯
コケ・地衣帯:ハイイロキゴケ・シモフリゴケなど。

「富士山北斜面」河口湖-富士山頂

800-1600m山地帯
夏緑樹林帯:ケヤキ・アカマツ・ミズナラ・ブナ・ウラジロモミなど。

1600-3000m亜高山帯
針葉樹林帯:ウラジロモミ・シラビソ・トウヒ・ダケカンバ・ミヤマハンノキなど。

3000-3500m高山帯
低小草帯:オンタデ・イワスゲ・フジハタザオなど。

3500-3776m氷雪帯
コケ・地衣帯:ハイイロキゴケ・シモフリゴケなど。

次回以降、上記の垂直分布帯についてより詳しく学んでいきます。



富士山の植物
「ミヤマハンノキ」カバノキ科

ミヤマハンノキ
分布帯:亜高山帯~高山帯 生育環境:砂礫地・林縁
生活型:落葉低木・小高木 樹高:3~8m 開花時期:初夏~夏

深山に生育するハンノキという意からミヤマハンノキ
お中道付近の砂礫地でよく見られ、根元にはハマウツボ科のオニクが寄生しますが、あまり見つけることはありません。
樹皮は赤褐色で、葉は厚く小さく卵形で葉脈は10対前後。
果実は堅果で翼が発達します。
また、葉はハンノキハムシやルリハムシなどの食害を受けやすいのが特徴です。

教材資料



ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ