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須山浅間神社:富士山信仰を伝える歴史と自然の宝庫

富士山の麓、静岡県裾野市に佇む須山浅間神社。その歴史的な社殿や、樹齢400年以上の杉の巨木に囲まれた参道は、訪れる人々に神秘的な雰囲気を提供します。また、ハート型の灯籠など、ユニークな見どころも多く、カップルにも人気のスポットです。さらに、富士山信仰の重要な拠点として、世界文化遺産の構成資産にも認定されています。今回は、そんな須山浅間神社の魅力を詳しくご紹介します。

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須山浅間神社(すやませんげんじんじゃ)は、静岡県裾野市に位置し、富士山信仰の重要な拠点として知られています。この神社は、富士山が2013年にユネスコの世界文化遺産に登録された際、その構成資産の一部として認定されました。

社殿と古宮

須山浅間神社の創建は、日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征(110年頃)に遡ると伝えられています。その後、欽明天皇13年(552年)に蘇我稲目によって再興され、江戸時代後期の文政6年(1823年)には現在の本殿が再建されました。

本殿
現在の本殿は、江戸時代後期の文政6年(1823年)に再建されたものです。富士山信仰の歴史を象徴する建築物であり、神社の中心的な存在です。
古宮
拝殿手前の覆屋の中に安置されている小社で、慶長16年(1611年)に建立されたとされています。この古宮は、須山浅間神社の長い歴史を物語る重要な遺構です。
棟札
社殿には大永4年(1524年)の棟札が残されており、少なくともこの時期には神社が存在していたことが確認されています。

須山口登山道

須山浅間神社は、かつて富士山南東麓から山頂を目指す「須山口登山道」の起点として機能していました。この登山道は、富士山信仰の登拝者が利用した重要なルートであり、登山者はここで安全を祈願し、みそぎを行いました。
登山道の一部は現在も残されており、富士山信仰の歴史を体感できる貴重な文化資産となっています.

社叢(しゃそう)

須山浅間神社の境内を囲む森林(社叢)は、樹齢400~500年とされる約20本の杉の巨木で構成されています。これらの巨木は、目通りの太さが周囲7メートルにも達するものがあり、神社の神聖な雰囲気を強調しています。
この社叢は、富士山信仰の象徴として国の文化財(史跡)に指定されており、須山浅間神社の自然環境と歴史的価値を示す重要な要素です。

富士山信仰との関連

須山浅間神社は、富士山を御神体とする浅間信仰の一環として、主祭神である木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀っています。この信仰は、富士山の火山活動を鎮めるために発展したもので、須山浅間神社はその重要な拠点の一つです.
また、1707年の宝永噴火では、登山道や社殿が大きな被害を受けましたが、その後復興され、現在に至っています。

世界文化遺産としての価値

須山浅間神社は、富士山が「信仰の対象」としての顕著な普遍的価値を持つことを証明する構成資産の一部として、平成23年(2011年)に国の文化財(史跡)に指定されました。
2013年に富士山がユネスコの世界文化遺産に登録された際、須山浅間神社はその構成資産の一つとして認定され、富士山信仰の歴史的・文化的意義を象徴する存在となっています。

自然環境と神社の魅力

神社の境内には、樹齢400~500年の杉の巨木が立ち並び、訪れる人々に厳かな雰囲気を提供しています。参道の両側には美しい杉の木が植えられ、自然との調和が感じられます。また、神社内にはユニークなハート型の灯篭や、龍神様が彫られた御手水など、訪問者を楽しませる要素も多くあります

まとめ

須山浅間神社は、社殿や古宮、須山口登山道、社叢といった構成資産を通じて、富士山信仰の歴史と文化的価値を伝える重要な神社です。これらの資産は、富士山が「信仰の対象」としての普遍的価値を持つことを証明するものであり、世界文化遺産の一部として国際的にも高く評価されています。

ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ