お勉強

富士山を学ぶ:富士山の植物たち

パッチ状の群落

はい。
インタープリター、タケザワです。

今回も富士山について学んでいきます。
テーマは「富士山の植物たち」

御殿場口
富士山を学ぶ:富士山の植生今回は富士山を学ぶシリーズ「富士山の植生」について学んでいきます。植物に関しては今まで学んできた事に増して情報量も多く深い話になりがちですが、このブログではいつもの通り、さらっと理解できるレベルのことを学んでいきます。...

その前の「富士山の植生を学ぶ」では垂直分布をテーマに学んできましたが
今回は実際にどんな植物が富士山ではよく見られるのか?できるだけわかりやすい、見つけやすい植物に絞って学んでいきます。

現在の富士山は今から1万年ほど前の火山活動によって誕生した比較的新しい山に分類されます。
そして、新富士火山と呼ばれる現在の富士山になってからも、繰り返し噴火にさらされ多くの植物が消滅したであろう事も想像できます。

とりわけ富士山は日本アルプスなどの山々と比べて高山植物が少ないことで知られていますが、その原因も富士山が形成された歴史、噴火の影響、独立峰であることが大きいと考えられています。

例えば、日本の高山帯でよく見られるハイマツは富士山には生育しておらず、代わりにカラマツが優占しています。
富士山におけるカラマツは標高1600m〜2500m付近の亜高山帯〜高山帯に広く分布しています。そして森林限界付近で見られるカラマツは風や雪の影響を強く受けて高くは育たず、その佇まいは、まるで盆栽や庭木のように映ります。
また、カラマツは日本で自生する針葉樹で唯一落葉、そして紅葉する樹木。
秋になると富士山が黄金色に色付くのはカラマツの葉が紅葉するためです。

また、富士山の紅葉を彩る木として代表的な樹木がダケカンバやナナカマドなどです。
ダケカンバは急斜面つまり雪崩の通り道でも生育することがよく見られ、一面なぎ倒されているダケカンバ林を度々見かけます。ダケカンバの葉の紅葉もカラマツと近い黄葉。
ダケカンバは白樺の類似種で、より標高が高い地に生育します。
樹皮は白に近い薄茶色で、薄くて剥がれやすく森の中でもその樹皮の姿はよく目立ちます。漢字で書くと「岳樺」高山で見られる樺の木という意味ですね。
別名「草紙樺」(そうしかんば)この剥がれやすい樹皮を山に住む人が手紙の代わりにして里へ送った事が由来とされています。

そしてナナカマドも富士山で見られる紅葉する木の一つ。
日本の秋を彩る代表的な樹木ですね。ナナカマドの紅葉はご存知の通り赤。
カラマツやダケカンバで黄色く色付く五合目付近の紅葉の中で一際目立ちます。
カマドに7回くべても燃えないことからその名称になっていますが、実際はよく燃えるようです。
ダケカンバ・ナナカマドもカラマツ同様、五合目登山道付近の道を歩いているとよく見かけます。その他カエデ類やブナなども標高が低い場所で見られます。

続いて五合目登山道付近でよく見かける樹木として、シラビソメツガ、トウヒ、ウラジロモミなどが挙げられます。
いずれもマツ科で日当たりの良いところで見られるカラマツとは対照的に日陰を好む陰樹。(アカマツやカラマツ、ハイマツなどは陽樹)
シラビソ、ウラジロモミはモミ属。トウヒはトウヒ属。クリスマスツリーとして使われる木と近い仲間ですね。
コメツガはツガ属。麓で見られるツガよりも葉がさらに小さく米粒程度の大きさであることからコメツガ。わかりやすいですねー。

以上は高木といわれる高く成長する木ですが、目線をぐっと下げてるとよく見かける木としてはミヤマハンノキ、ミヤマヤナギそしてハクサンシャクナゲ
ハクサンシャクナゲはバナナの皮を思わせる楕円形の大きな葉で、夏になると鮮やかな紅色をさした白色の花を咲かせます。

さらに視線を落とすと、草と見間違うばかりに低く生育するコケモを見つける事ができます。コケモモはその名の通り?赤い果実をつけます。ジャムや果実酒などに適した甘酸っぱい実で、昔は長寿の実として重宝されていたとか。ちなみに富士山域は採取伐採が禁止されているので食べるのも採るのもNG。

続いて、五合目登山道の林を抜け森林限界である火山荒原に視線を向けるとスコリアに覆われた大地の所々にパッチ状の植物群が見られます。オンタデイタドリなどの草本類です。これらは先駆性植物と言われ、崩れやすいスコリアの大地にしっかり根をはり他の植物たちが生育しやすいようにしてくれる富士山に緑を作る大きな役目を担っている植物たちです。

その他、富士山の五合目付近でよく見られる草本類(草花)としてコバナノイチヤクソウ、ムラサキモメンヅル、フジハタザオ、イワツメクサ、ミヤマオトコヨモギ、コタヌキラン、ヒメガリヤスなど他にも多数生息しますがいずれも富士山に緑を作る役割を果たしています。

また、富士山には「フジ」の名がつけられた植物も見られます。
フジアザミ、フジザクラ(マメザクラ)、フジイタドリ、フジハタザオ、フジイバラ、フジオトギリなど。
代表的なフジアザミは火山荒原や砂礫地でよく見られ一般的なアザミに比べ、頭花が大きく10cmほど、8月下旬頃から紫色の大きな花を咲かせます。全身、とげで覆われていますが、そのとげをかいくぐり鹿はその茎などを食します。よく頭花が地面に落ちているのはシカによる食害ですね。

また、フジザクラ(正式名はマメザクラ)は花の径は2cmほどと小さく樹高もそれほど大きくならない。また花を下に向けてつけるためほかの桜と見分けがつきやすいです。
山梨県の県花にもなっています。

いずれも「フジ」の名を冠しているとはいえ、富士山にのみ咲く花ではなく富士山周辺でよく見られる花としての意から付けられています。

以上、ほんの一部、富士山の植物に見てきました。
富士山に見られる植物に絞ったとしても、その数は数百種類に及び、私には全て覚えるのは不可能なので、代表的なものや興味があるものだけ抜粋しました。

今後はもっとフィールドにて散策し、植物についてのレパートリーを増やしたいと思います。日々勉強でございますね。

ABOUT ME
インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ