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鳥を学ぶ:キツツキの仲間

キツツキといえば、くちばしで木を突き穴をあける鳥さんとしてよく知られていますが、そもそも日本にはキツツキという名前がついた鳥さんはおりません。どのキツツキの仲間もアカゲラ、アオゲラ、コゲラなどと呼ばれ、アカキツツキやアオキツツキとは言われません。

キツツキは英名の「ウッドペッカー」を訳したもので、日本では昔から「ケラ」と呼ばれておりその名が今でも引き継がれているためです。
ただ分類としては、キツツキ目キツツキ科など「キツツキ」の名称が使用されています。

さて前置き長くなりましたが、そのキツツキの仲間から代表的な5種を紹介していきます。



「コゲラ」
コゲラ
コゲラ画像【写真AC】ハク164さんより。

市街地にも生息し、日本に住むキツツキの仲間では最も小さい

背と翼は黒褐色で白い横斑があります。雄の後頭部には赤色羽がありますが小さく目立ちません。幹の下から上、枝から枝へ移り一定の区域内を一日中移動しながら樹皮をつつき昆虫やクモの仲間を捕食します。

また「ギィーギィーギィー」という鳴き声は市街地でもよく聞かれ、比較的見つけやすいキツツキです。

分類:キツツキ目キツツキ科 大きさ:15cm程度(スズメ大)
分布・季節:全国で留鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:ギィーギィーギィー、キッキッキッ
その他:ドラミング

 

「アカゲラ」
アカゲラ
アカゲラ画像【写真AC】makieniさん。アイキャッチ画像同

日本に生息するキツツキの仲間の中でも代表的な種でユーラシア大陸にも広く分布するキツツキです。

雄は頭とお腹の赤色よく目立ち、雌はお腹のみが赤色で頭は黒色。背中にある逆八の字の白い班も特徴的。
繁殖期になると雄はドラミングという行動で、乾いた木を連続して叩き「ドドドドド」という音を立て、雌にアピールするとともに縄張りを主張します。その回数、1秒間に16回とも20回とも言われています。
キョッキョッキョッキョッと短く連続的に鳴きます。

分類:キツツキ目キツツキ科 大きさ:24cm程度
分布・季節:北海道~本州で留鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:キョッキョッキョッキョッ、ケッケッケッ、
その他:ドラミング



「アオゲラ」
アオゲラ
アオゲラ画像【写真AC】あかげらさん。

よく茂った広葉樹林に住む緑色のキツツキ。「アオ」とはアオバトらと同様に緑色を意味します。日本の固有種。

体上面は緑褐色で腰から尾羽は黄色みが強く、額や後頭部が赤色。口笛に似たピョーピョーピョーと大きな声で鳴き、ドラミングも行います。

雑食性で樹皮下や木質中の甲虫の幼虫を捕食するほか、地上ではアリを食べ、秋冬には木の実を、そしてカエデの樹液をなめたりします。キツツキ類の中では枯れ木より生木に営巣することが多く、古巣はモモンガがねぐらとして利用することがあります。

分類:キツツキ目キツツキ科 大きさ:29cm程度
分布・季節:本州~南西諸島で留鳥
生活環境:平地~山地の林、公園
鳴き声:ピョーピョーピョー、キョキョ、ケレケレ
その他:ドラミング

 

「クマゲラ」
クマゲラ
クマゲラ画像【写真AC】あいきさん。

日本最大のキツツキで全身は黒色、北国の原生林にすみます。

全身が黒くくちばしは黄色、雄は頭全体が赤く、雌は後頭部のみが赤い。クマとは大きいという意味で、クマのように黒いという意味ではありません。
ドラミングの音も体に比例して大きく、1km先からも聞こえると言われるほどです。
樹皮下の昆虫の幼虫を食べるほか、地上でアリを好んで食べます。

アイヌでは神様として崇拝された鳥で、ヒグマの居場所を教えたり、道案内をしたりと崇められていました。

分類:キツツキ目キツツキ科 大きさ:46cm程度
分布・季節:北海道~東北北部で留鳥
生活環境:平地~山地の林(原生林)
鳴き声:キョーキョー、キョロキョロ
その他:ドラミング



「アリスイ」
アリスイ

アリスイ画像【写真AC】jiro045さん。

他のキツツキの仲間とは異なった特徴を持つキツツキ。木の幹に縦にとまることが多いキツツキ類の中で、横枝に他の鳥たちと同じように止まります。

地上へも頻繁に下り、「最も舌の長い鳥」(体の大きさに対して)と言われるくらいの長い舌を伸ばして地面や樹皮の裂け目からアリをなめとることからこのような名前が付けられました。
尾羽も他のキツツキと異なり角型で全体的に褐色の地味な姿をしています。また、自分で巣は作らず他のキツツキの古巣を利用します。
そして、巣から外へ出るとき危険を感じると、頸を伸ばしながら長い舌を出して「シェー」と鳴きヘビに擬態します。かつては、頸を曲げて後ろを振り向く独特で少し不気味なその姿から不吉な鳥とされていた時代もありました。

分類:キツツキ目キツツキ科 大きさ:18cm程度
分布・季節:北海道~九州で漂鳥
生活環境:平地~山地の林、農耕地、草原
鳴き声:クィクィクィ(繁殖期)
その他:ドラミング

以上の通り、キツツキの仲間は他の鳥類とは少し違った特徴を持っています。

その代表的な特徴が「ドラミング」というコミュニケーション手段です。彼らは鳴くかわりに木をくちばしで叩くことで求愛を示したり縄張りを主張します。

ドラミングで木をつつく回数は1秒間に20回とも言われ、それだけ頭を揺らし脳震盪を起こさないのはなぜか?という疑問がわいてきます。
その理由として、木とくちばしの接触時間が短く衝撃が少ない、脳が頭蓋骨にぴったり収まり揺れにくい、頭蓋骨の一部がスポンジ状で衝撃が分散される、顎や頸の筋肉が発達しているので衝撃を和らげているなどと言われていますが、実はキツツキの脳は損傷を受けているという、ちょっとびっくりな研究が発表されています。

その研究によるとキツツキの脳内には「タウタンパク質」という認知症の原因ではないかと言われる物質が他の鳥より多く溜まっているというものです。
つまりボクサーらと同様のパンチドランカー状態だという事ですね。

まさに命を削るコミュニケーション手段、それがドラミングなのです。

参考資料



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富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ