お勉強

富士山を学ぶ:富士山に生息する動物

富士山を学ぶシリーズ。

前回までは、富士山の植物について学んできましたが

パッチ状の群落
富士山を学ぶ:富士山の植物たち今回も富士山について学んでいきます。テーマは「富士山の植物たち」その前の「富士山の植生を学ぶ」では垂直分布をテーマに学んできましたが今回は実際にどんな植物が富士山ではよく見られるのか?できるだけわかりやすい、見つけやすい植物に絞って学んでいきます。...

今回は「富士山に生息する動物」について学んでいきます。

ちなみに日常生活の会話の中で「動物」というと主に哺乳類を指すことが多いですが
本来「動物」に含まれる生物は、哺乳類・爬虫類・鳥類・両生類・魚類・貝類・昆虫類など
幅広い種類を含んでいます。

この記事においても本来の意味での「富士山に生息する動物」を学んでいきます。

まず富士山に生息する動物を学ぶ前提として、富士山の自然環境について改めて確認する必要があります。

現在の富士山は氷河期末期である約1万年前の火山活動によって誕生した比較的新しい山であること。
その後の1万年の間でも噴火を度々繰り返していること。
標高2500m以上はそのほとんどが森林限界といわれ動物はもちろん植物にとっても厳しい環境であること。
雪代や雪崩、土砂崩れなどによる自然破壊・環境の変化が多いこと。
富士山の降った雨や雪のほとんどは地下に浸透するため地表にはあまり水が残らないこと。

などを踏まえて本題、富士山域に生息する動物について学んでいきます。



「哺乳類」
まずは哺乳類から。
日本には約130種類の陸生哺乳類が生息しています。
その内、富士山に生息してる哺乳類はおよそ50種類程度といわれています。

そのほとんどが夜に活動する夜行性の小型の哺乳類です。
中でも多いのがネズミやコウモリ・モグラの仲間たち。
標高の低い草原が多い地域では、カヤネズミやハタネズミ、地中にはコウベモグラやアズマモグラ。青木ヶ原樹海など溶岩流に覆われて針葉樹中心の薄暗い森では、モグラの仲間でも特に小さいヒミズやヒメヒミズ、ネズミの仲間ではヒメネズミやアカネズミ、溶岩洞窟をねぐらにするキクガシラコウモリやモモジロコウモリなどのコウモリの仲間が多く生息します。また標高2400m以上の砂礫地ではアカネズミ、頂上付近にも乾燥を好むハタネズミが見られます。

中型の哺乳類としては、富士山の麓を中心に、キツネやタヌキ、アナグマなどが見られ、
大型の哺乳類で代表的なものは、富士山に限らず各地域でもその数を増やしている二ホンジカ、また数は少ないがツキノワグマの目撃情報も毎年あります。
さらに五合目付近ではニホンカモシカも度々見かけます。

その他、二ホンリスやムササビ、テン、イノシシなど日本各地の森や山に生息するよく知られたほとんどの陸生の哺乳類も富士山には生息しています。

ただ、その中でもあるよく知られた哺乳類は富士山ではほとんど見られない。
その哺乳類とは??

ニホンザルです!

サルが富士山にいないのは良く知られた話でごくたまに他の山から遠征することもあるようですが、基本的にサルは富士山には生息していません。
その理由として、サルの餌となる木の実、果実が少ない。また富士山には川もなく水が少ないことが理由に挙げられていますがその真意はどうなんでしょうね。



続いて
「鳥類」
富士山一帯には多くの野鳥が生息しています。
現在、日本に生息する野鳥はおよそ600種類。
富士山においては、富士山域で繁殖し生息する種、または季節によって移動してくる種を含めると約300種近くになるといわれています。
そして植物における垂直分布と同じく、鳥類もその標高によって生息がかわります。

標高1500m以下の低山帯・山地帯では、ハシブトカラス・ハシボソカラス・シジュウカラ・キジバトなど市街地周辺でもみられる種から、カッコウ・ヤマガラ・センダイムシクイ・ウグイス・カケス・オオルリなど各地の森や山もでみられる多彩な種の野鳥が生息しています。

標高1500m以上の亜高山帯からは見られる種も徐々に少なくなり、コマドリやエゾムシクイ・キクイタダキ・ヒガラ・ホシガラスなどが目立つようになります。

また、2500mを超える森林限界付近からは、カヤクグリ・イワヒバリ・イワツバメなど高山に生息することでおなじみの野鳥などが見られます。
ただ、植物と比べると当然ながらその垂直分布の範囲はかなりあいまいです。

そして富士山域の野鳥という広い分類になると、富士五湖などの湖沼に生息するカモやサギの仲間など水辺の鳥も含まれますね。

その他、フクロウの仲間は北海道や沖縄など一部地域に生息するものを除く6種が富士山でも生息することが知られています。
フクロウ・コノハズク・オオコノハズク・アオバズク・コミミズク・トラフズクかな。

「昆虫」
富士山域に生息する昆虫は、標高700m~1600m付近の範囲に多く生息します。
700m以下の麓付近は、都市化や植林、ゴルフ場などの開発により自然林が奪われ特色のある昆虫類が見られなくなっています。
また、1600m以上の標高でも多くが針葉樹または砂礫地であるため昆虫の種類、数は限られます。

その他、他の山で見られるような「高山蝶」も富士山では見られません。
理由としては富士山が約1万年前に誕生した新しい山であるゆえと言われています。

昆虫類が最も豊かに生息している標高700m~1600m付近は、落葉広葉樹の森林帯、朝霧高原・自衛隊演習場などの草原帯に分けられ、その森林帯ではゼフィルスと呼ばれる群の一種フジミドリシジミやヒメキマダラヒカゲなどの森林にすむチョウが、草原帯ではヒメシロチョウやウラギンヒョウモンなどの草原にすむチョウの生息が確認されてます。

以上、いずれもチョウに関してとなり、その他富士山において特色のある昆虫はあまり生息していないようです。

もちろん、カブトムシやクワガタなどの甲虫も富士山域で見つけられますがそれほど多くもなく珍しい種はおりません。ハチやアリの仲間、バッタやコオロギ、トンボの仲間なども生息しますが同じく珍しい特長のある種はいないようです。

その他の昆虫で目立つ種といえば、春から夏にかけて麓の森林においてけたたましく鳴く、エゾハルゼミやハルゼミ、エゾゼミでくらいしょうか。
それぞれ名前が被っていますが異なる種です!
ちなみにセミはカメムシの仲間です。。。。なんかいやだな。



「淡水魚や両生類」
川がない富士山においては富士五湖やその周辺の水辺に生息する種に限定されます。

両生類で代表的なものとしてアズマヒキガエルやモリアオガエルなど。
富士五湖に生息する在来の淡水魚としては、アブラハヤ、ヤマナカドジョウ・ホトケドジョウ・ニホンウナギ・ウグイ・ヨシノボリ。
移植種として、ワカサギ・コイ・ヒメマス・クニマス・オイカワ・ナマズ・ブルーギル・ニジマスなど在来種を上回る数の種が生息してます。
クニマスは西湖で見つかった一時期絶滅していたといわれていた種ですね。

西湖
富士山を学ぶ#8西湖ども インタープリタータケザワです。 きょうも富士山のお勉強していきます 今回は前回から引き続いて富士五湖のお勉強。 反...

 

以上、「富士山の生息する動物」を学ぶとしては、ひとまずこのくらいでしょうか。
またもっと深堀したくなったら改めて勉強していくとともに、学んだことのブラッシュアップも図っていこうと思います。
あと、植物もそうですが基本的にはこのような生き物は実際にフィールドでみかけたものをその都度ブログで紹介する方がいいかなとも思っておりますので、また随時このブログで紹介していきます。

ではまた。



ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ