お勉強

日本に棲む小型のコウモリたち:夜の王者コウモリについて学ぶよ。

アブラコウモリ

日本の哺乳類を学ぶシリーズ。
今回は日本においても多くの種が生息する小型のコウモリを学んでいきます。

日本の哺乳類を学ぶ:オオコウモリ類今回は日本に棲むオオコウモリ類について学んでいきます。現在日本に生息するオオコウモリ類は大きく分けて、 南西諸島に棲む「クビワオオコウモリ」と小笠原諸島に棲む「オガサワラオオコウモリ」の2種。 大きな目を持ち、超音波を発せず(日本のオオコウモリ)、視力で飛ぶ有視界飛行をします。小型のコウモリのように空中で獲物を捕らえることはせず果実などを食べて生活しています。...

小型のコウモリをその住処で分類すると、イエコウモリ 洞窟性コウモリ 樹洞性コウモリに分けることができます。

日本の哺乳類を学ぶ:翼手目(コウモリの仲間)哺乳類で唯一空を飛ぶことができるのはコウモリの仲間です。 コウモリ類は、手が翼になっているという意味から翼手目(コウモリ目)に分類され、日本にはおよそ30種が生息しており日本に生息する哺乳類の約3分の1を占めています。そしてコウモリ類は、大翼手目のオオコウモリ類と小翼手目の小型のコウモリ類の2種に分類されます。...

まずもっとも一般的なイエコウモリから学んでいきます。

イエコウモリとは、町などで一般的に見られるコウモリ主に都市部の木造家屋などにねぐらを作り、公園や広場・田畑・ため池や川面など開けた場所で蚊などの昆虫を旋回飛翔しながら捕食します。町で見かける一方で山地ではあまり見られません。

そのように町で見かけることがあり、私たち人間の家にも棲みつくコウモリの代表といえば『アブラコウモリ』です。

アブラコウモリ
アブラコウモリ画像【写真AC】バナーナさんより。

アブラコウモリは頭胴長約5cmほどの小型種で家屋の壁や倉庫の梁のすきまなど、1cmほどの間隙があれば出入りできます。
冬は天井裏や瓦下などで冬眠し、年中同じ家屋に棲み続けながら、20〜30頭の集団を作ります。近年においては高層ビルや道路、鉄道などの高架下にすみつくことが多くなっています。
ちなみに名前のアブラコウモリとは油とは一切関係なく、アブラムスabramusという学名に由来するようです。

洞窟性コウモリ

洞窟からバサバサとコウモリの群れが現れる、そんなシーンを映画などで見た記憶のある人多いと思います。
私もコウモリにはそのようなイメージがあります。
このような洞窟をねぐらにしているコウモリ達は洞窟性コウモリと呼ばれています。

『キクガシラコウモリ』

キクガシラコウモリ
画像:Marie Jullion CC 表示-継承 3.0

彼らは日が沈み森が静寂を迎えたころ、ねぐらである洞窟より一斉に飛び出し洞外へ散っていきます。
洞窟はコウモリに安全で安定した環境を提供してくれます。昼間でも光の届かない暗闇の世界、気温や湿度の変動も小さく年間を通して外界に比べると一定に保たれています。

そして、典型的な洞窟性コウモリとして知られるのは、キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、カグラコウモリ、ノレンコウモリ、ユビナガコウモリら。
その他、樹洞を主にねぐらにしながら洞窟内も利用するのがテングコウモリ、コテングコウモリ、カグヤコウモリ、ウサギコウモリ、チチブコウモリなど。
いずれにしても多種多様なコウモリの仲間が洞窟をねぐらにしています。
そして、同じ洞窟内に異なったコウモリの仲間が暮らすことも珍しくありません。

また、それらのコウモリはねぐらの場所を住み分けることで共存図っています。
例えば、キクガシラコウモリは洞口近くや洞央、コキクガシラコウモリは洞央から洞奥。天井の平坦な場所には、キクガシラコウモリやコキクガシラコウモリ、カグラコウモリ、ユビナガコウモリがいて、天井のくぼみや岩の隙間などにはノレンコウモリやモモジロコウモリが多く見られるようです。

その他にも時差による採食活動(食事時間)の調整もなされており、キクガシラ・コキクガシラコウモリは夕方から暗くなり始めころにねぐらを飛び出し採食活動をスタートし、あたりがより暗くなるとユビナガコウモリ、それらに続くようにモモジロコウモリ、ユビナガコウモリが一斉にに森へ出でゆきます。
時間だけでなく、採餌場所も違えたり、捕食する昆虫も食べ分けする事で同一地域内で共存します。
私たち人間より同属意識が強い平和な動物ですね。

樹洞性コウモリ
イエコウモリ、洞窟性コウモリときて最後は樹洞性コウモリ。
その名の通り、樹洞・樹木にできた穴などをねぐらにするコウモリの仲間です。
大別すると洞窟性コウモリと同じく、山や森に棲む森林性のコウモリになります。

この樹洞に暮らすコウモリの代表とされるのがヤマコウモリ
全腕長は6cm前後で体重は平均45gあり、日本産の小型コウモリ類では大型です。
翼が細長く高速で長距離を飛翔できる特徴を持っています。
ねぐらとして利用する樹木はハルニレが多く、ハンノキ、ミズナラ、ヤマモミジ、ポプラなどが使われ、その他、鳥の巣箱も利用するようです。

ただ、近年では樹洞として利用できるような大木が減少しており、それと共に樹洞性コウモリも激減しているといわれます。
また、大木に樹洞するのはフクロウやリス、ムササビ、テンなどもおり、ねぐらとしての競争率が高いことも一因といえます

そんな厳しい環境で生きる樹洞性コウモリですが、樹洞以外の洞窟や家屋をねぐらに利用するコウモリもいます。これらはもともと樹洞をねぐらにしていたものが、なくなくそれらをねぐらに利用するようになったと考えられています。
そのようなねぐらに対する適応能力が高いコウモリの代表的な種には、鼻が少し突き出しているテングコウモリ や大きな耳をしたウサギコウモリなどがいます。

『ウサギコウモリ』

ウサギコウモリ
画像:Fourrure from France - Plecotus auritus  CC 表示-継承 2.0

コウモリから生態系を考える事ができます。
樹洞性コウモリが減少しているという事は、樹木や森林の減少をあらわしています。
またコウモリは飛翔昆虫の捕食者として重要な生態的地位を確保しており、食べられる昆虫には農作物に多大な影響を与える害虫も多数含まれています。そのような理由から、コウモリは私たち人間にとって益獣と呼ばれますが、その一方で家屋に侵入し病原菌を運ぶ害獣とも呼ばれます。
元々は、森で暮らしていたコウモリが森林の減少によりねぐらを失い家屋にすみつくことで、一転して人にとって害獣となってしまうのです。

森林の減少→コウモリが森でねぐらを失う→人の家屋に棲みつく→コウモリの駆除→害虫の増加→農作物が育たない
これらの現象は、生態系のバランスが崩れた結果です。

コウモリは生態系のバランスを保つ大きな役割を担っており、コウモリを守る事が私たち人間にの生活とっても有益に働きます。
原生林の保全や樹齢の高い大木の保全・管理が、コウモリの減少を防ぎ生態系を安定させ、私たち人の暮らしも守ることになるのです。

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インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ