お勉強

富士山を登る植物:八合目 垂直分布(夏緑広葉樹林帯)

富士山の植物について学んでいます。
ちなみに表題が八合目となっていますが、八合目に生育する植物についてではなく、富士山を登る植物と題しての記事が八回目(八合目)という意味合いです。あしからず~。

薩埵峠
富士山を登る植物:七合目 垂直分布(低地帯)植物の分布(植生帯)は、一般的に標高差=気温差により変化します。 富士山にておいても同様です。その植生帯は研究者や学者により異なりますがおよそ五つに区分されます。 今回は海抜0m~約800mの低地帯の植生について学びます。...

さてここから本題です。
前回は富士山における低地帯(海抜0mから800m)付近の植生について学んできましたが今回はその上、およそ700〜800m以上1600m以下に大別される山地帯での富士山の植生について学んでまいります。

山地帯は別名夏緑広葉樹林ともよばれます。その名の通り夏には明るい緑葉に森が覆われて、秋になると紅葉・落葉し冬には葉のない裸木となるような森の事を指します。

富士山の夏緑広葉樹の森では、ブナやミズナラ、カエデなどが優占種となり、それ以外にもヤマボウシやシナノキ、カツラ、ウワミズザクラなどが見られ、林床においてはスズタケが優占し、イワガラミやツルアジサイなどのツル植物も出現します。
その一方で山地帯の下部地域は広く人工林としての利用が進んでおり、スギ・ヒノキ・モミなどの常緑針葉樹が多く分布しているため、自然林としては富士山南麓の西臼塚など中腹のややまとまった森などに限られています。
そして、1600m付近になるとウラジロモミの混生した森が優勢となります。

また富士山山腹のこの標高域は火山噴火の影響を多く受けており、その結果他の植生に置き換わっています。
富士山の北西にあたる青木ヶ原ではヒノキやツガの樹海に覆われ、御殿場口五合目などの南東斜面も宝永の大噴火の影響が色濃く残り、未だにブナなどの夏緑広葉樹は発達していません。
富士山における本来の山地帯 夏緑広葉樹林は、南斜面及び西斜面、一部の北斜面、山中湖周辺にわずかに残されているのみでいずれも貴重な自然林となっています。

富士山における山地帯(夏緑広葉樹林帯)はどのあたり??

たまにどこからが富士山か?という問いがされたりしますが、ちょうど標高700〜800m以上にあたる山地帯の下部あたりからが一般的な富士山と言われる地域になります。

富士山の北麓にあたる山梨県側は、富士五湖で最も低い場所に位置する河口湖の標高がおよそ850m、最も高い場所に位置する山中湖はおよそ980mなので、山梨県側の富士山の麓は山地帯の下部にあたり、富士山スバルライン2合目の樹海台駐車場(標高1663m)、吉田口登山道では、1450mの馬返しをさらに登り約1600mの小室浅間神社付近までが山地帯となります。
須走登山道のある東麓地域では須走浅間神社付近から富士あざみラインを上がり富士グランドキャニオンと称される砂礫地あたりまで。
御殿場口や須山口にあたる南東麓ではサファリパークなどのある十里木高原から富士山の側火山二子塚あたりまで。
富士宮口や村山口にあたる南麓および南西麓では、700〜800m付近の下部が森林に覆われているためランドマークになるようなものはありませんが(村山浅間神社約515m・山宮浅間神社約400m)、上部は富士山スカイライン高鉢駐車場付近(約1660m)になります。
そして富士山西麓の山地帯は朝霧高原周辺が下部となり上部は森林に覆われているためランドマークになるようなものはありません。

以上の通り富士山における山地帯は観光地としてよく知られた地域から富士山の中腹に至る一帯であるためトレッキングコースも整備されていて富士山の植生、自然を愉しむのにはうってつけの場所になっています。
気軽に登山ができる「山頂を目指さない富士山山地帯トレッキング」おすすめです!!

富士山で見られる植物:ブナ

ブナ林
分布帯:山地帯 生育環境:森林
生活型:落葉高木 樹高:30m 開花時期:春

今回の山地帯、夏緑広葉樹林帯を代表する樹木といえばブナといえるでしょう。
ただ富士山域においては北西麓の大室山や南麓の西臼塚周辺でブナの大木が見られますがそれ以外の場所ではあまり見られません。
これは前述したとおり、昔から人工林による利用が盛んであったためにこの標高域では自然林が少ないためです。
そういった意味でも富士山のブナ林はとても貴重なのです。

教材資料

 

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インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ