雷を避けるには天気予報などを事前に確認して、あらかじめ危険を避ける、行動を制限するなどが必要になります。
ただ、熱雷など突然発生する雷もあります。
そのような時にはどのような注意が必要になってくるのか?を今回学んでいきます。
まずは雷が発生しやすい条件を把握しておきます。
天気図などで確認する必要のない条件は2つです。
① 日中晴れて著しく気温が上がった時。
② 朝から湿度が高いとき。
早朝から登山をスタートして、しばらく歩いていると、まとわりつくようなジメジメとした感覚があり、いつもより疲れるしやたらと汗が出る。このような時は空気が湿っている時、つまり湿度が高い時です。その湿った空気が上昇すると、積乱雲が発達しやすくなり、午後から雷が発生する確率が高くなります。
そして、上空の雲に目を向ける必要があります。
朝から積雲(孤立しているわたあめのような雲で輪郭がはっきりしています)が見られるときは要注意です。積雲が早い時間、そして量が多く、またいつもと違う場所で発生しているときは、その後の雲の変化に気をつけ積乱雲に発達するのを見逃しさないようにします。
また視界の良し悪しも判断材料となり、空気に水蒸気が多く含まれている場合は、モヤッとした感覚があり、遠くの山が近くに見える場合も水蒸気がいつもより多い証拠になります。
空気中に水蒸気が多い時や大気に乱れがあると、太陽光が複雑に散乱したり乱反射することによって、あたりが白っぽく見え遠くのものが見えにくくなります。そのため目の錯覚により、見える距離にある山は離れていても近くに見えるようになるのです。
周囲で積乱雲が発生し、標高が高い山の稜線にいる場合はその風向きに注意を向けます。
積乱雲は高さが10km以上に発達することもありますが、雲底と雲頂の中間地点に吹いている風に流される傾向があります。
このため、可能であれば標高5000~6000m付近の風向きを高層天気図などで確認したいところですが行動中はそれも難しいため、稜線での風向きを参考にします。
稜線にて積乱雲のある方向から風がこちら側に向かって吹いてくる場合には、積乱雲が近づいてくる可能性が高くなります。そのような時はただちに少しでも低いところへ、または建物内へ避難が必要です。
また、霧などに覆われ積乱雲の動向がわからない場合には、携帯ラジオのAM放送をつけた状態にしておくことで雷の発生を予測できます。これは、雷が近づくと電波に干渉しバリバリというノイズが入るためで、それが雷発生の合図になります。そのほか、携帯型の雷警報器を利用するのも有効です。いずれも発生の到来がわかったら、ただちに避難が鉄則です。
すでに稲妻や雷鳴が生じている場合には、その時間差からおおよその距離を図ることができます。
稲妻の光の速度は毎秒30万kmですが、雷鳴は毎秒340mの速さなので、稲妻が発生し雷鳴が轟くまでの時間で距離が把握できます。
ピカっとひかり、その10秒後に雷鳴が轟く場合には、その距離約3.4km。30秒の時は約10kmと判断できます。遅くとも時間差10秒以内になった場合には、直ちにその場を離れる必要があります。
以上、雷が近づいているときの対策について学んできました。
次回は運悪く、雷に遭遇してしまった時、または雷から逃げる時間がない時の対処方法について学んでいきます。