モグラに近い仲間にヒミズ類がいます。
姿はモグラと同様に眼は皮下に埋まり耳介がありません。モグラ類に比べて体が小さく尾が長いのが特徴です。落ち葉層、腐食層など地表の浅い部分にトンネルを掘って生活して、地表でも活動するなど地下生活への適応度合が低く、トガリネズミ類に似た半地下性の動物です。
日本に分布する2種、ヒミズとヒメヒミズはいずれも日本の固有種です。
この2種は同じ場所には見られず、標高の高い場所はヒメヒミズ、それより低い場所にヒミズが生息します。また、ヒメヒミズは岩礫が多く土壌があまり堆積していないところ、ヒミズは土壌の発達したところに生息するなど棲み分けをしています。
ヒミズの眼はモグラ類同様に退化していますが、その特徴であるとがった鼻先を細かく振り動かしながら上下左右の色々な方向を探るようにして餌を探します。餌が近くにあると鼻先を激しく振りながら餌に向かって近づいていきます。また昆虫などの動く音にも敏感に反応します。つまり鼻先が餌を探すセンサーのような役割を担っているということになります。
「ヒミズ」
トガリネズミ目モグラ科ヒミズ属
本州、四国、九州と一部と離島に分布し、丘陵地や山林、草原など多様な環境に生育しますが、モグラ類が優勢な平地には少なく、ミミズ、ジムカデ、クモ、昆虫などのほか、果実・種子など植物性のものも食べます。
地表に出るのは夜間が多く、昼夜を問わず数時間の周期で活動と休息を繰り返していると推測されています。
サイズ:頭胴長89〜104mm、尾長27〜38mm、体重14.5〜25.5g
特徴:体毛は黒色から黒褐色でビロード状でこん棒状の尾
生態:繁殖期は春で1年に1回、産子数は2〜5。寿命は約3年
「ヒメヒミズ」
トガリネズミ目モグラ科ヒミズ属
本州、四国、九州の山地に飛び地状に分布。
ヒミズに比べて小型で前足は小さいが尾は長く、地下生活への適応度合がヒミズよりもさらに低いと考えられています。
山地帯上部から高山帯の樹林地に生息しますが、長野県では標高1500m以上に分布するのに対し、青森県では300mほどのところにも見られるなど分布下限は北に行くほど低くなります。食物はミミズ、昆虫、ジムカデ、クモなど。繁殖期はヒミズより遅く初夏で、1年に1回、3〜5の子を産みます。
サイズ:頭胴長70〜84mm、尾長32〜44mm、体重8〜14.5g
特徴:全身灰黒色で、腹面はやや淡色、ヒミズよりも小型で尾が長く、尾の毛は短い。
寿命は約2年
ヒミズ、ヒメヒミズはトガリネズミ目の仲間では最も見つけやすいのではないでしょうか?
登山道周辺でもその姿を見かける事がありますが似た姿のモグラと間違えられることも多いです。モグラの方が知名度が高いですからね。
アイキャッチ画像(ヒミズ):出典:ウィキメディア・コモンズ Urotrichus talpoides – Berjeau.jpg