お勉強

焚き火の基礎知識を学ぶ

今回は焚き火について学びます。

焚き火はキャンプやバーベキューなどのレクリエーションとしてだけでなく、登山中のアクシデントでビバークを余儀なくされた時など緊急事態下でも必要となる火を熾すことで暖を取ったり食事を作ったり明かりを灯すためのサバイバル技術の一つです。

この焚き火をどんな状況下においても迅速かつ確実に行えることは人生をより楽しいものにするとともにいざという時のサバイバルにも役立ちます。

そこで今回は「火を熾し焚き火を構築する基礎技術」を学んでいきます。

そもそも「火」とは、物質の急激な(酸化)燃焼により起きる現象です。
そして燃焼は可燃物が空気中で光や酸素の発生を伴い酸素と反応する酸化反応のことをいいます。

薪を燃やす焚き火など有機物の燃焼においては、炭素+酸素=二酸化炭素という酸化反応が起こっており、炭素が主成分となる薪の燃焼はオレンジ色の炎が発生させますが、家庭用のガスに含まれている炭素と水素の化合物であるメタンなどの燃焼は、炭素が水素強力なエネルギーにより高い熱を持った青色の炎を発生させます。

参考までに様々なものの燃焼温度

太陽の表面:約6000度(中心は約15000度ともいわれる)
アルミニウム粉末:約3700度(最高温時:金属の中で最も燃焼熱が大きく、かなり酸化しやすい)
溶接バーナー:約2300~3000度(アセチレンガス利用)
発火直後のマッチ:約2500度(酸化剤を含んでいるため)
ガスストーブ・コンロ・バーナー:約1700~1900度
ろうそく:約1400度(青色炎)
溶岩:約700~1100度(種類により異なる)
練炭・木炭・アルコールランプ:約700~1200度
タバコ:約800度 
薪:約700度(最高温時)

「火の三要素」
火の発生及び維持に必要な要素は三つ。
「熱」「酸素」「燃料」
熱の発生により燃料から可燃ガスが噴出されそれが急激に酸素と結びつき(酸化)燃焼が起きます。

火は、これらの要素がそれぞれ働くことで着火し燃え続けることができるのです。

そしていずれかの要素が欠ければ火は消えます。

火を消す際には、水をかける(熱の温度を下げる)毛布等で覆う(酸素を遮断)ガスの元栓を閉める(燃料を遮断)などの行為を行います。つまり、火がつかない・火が消えてしまうというのはこれらと同じ現象が起きているという事になります。

湿っている薪(熱が上がりにくい)薪の組みすぎ(酸素が供給されない)などは代表的な火が付きにくい条件ですが、上手く火がつかない場合には、燃料が足りていないのではないか?熱が逃げているのではないか?吸気(空気の流れ)に問題はないか?などの原因を探る必要があります。
そして原因が特定出来たら、燃料が足りていない→焚き付けを増やす 熱が逃げている→火の回りを囲う 吸気に問題→火床を上げて酸素(空気)を下から供給する などの対処を行っていきます。

「一般的な焚き火の流れ」

◇ 火口(ほくち)に火をつける

◇ 焚き付けに火を移す
焚き付けに火が移るまでしばらく放置。

◇ 細い薪に火を移す
細い薪に火が移るまでしばらく放置。

◇ 太い薪を組んでいく
太い薪に火が移るまでしばらく放置。
火の勢いを確認しながら燃料(細い薪など)を追加、または酸素を供給。

◇ 太い薪に火が移る。(下部の細い薪等は燃焼が進み熾火状態)

◇ 太い薪も燃焼し熾火に至る。

◇ 燃え尽きてほぼ全てが灰になる。

◇ 後片付け。

「一般的な焚き火の材料と道具」

◇ 火熾し道具
マッチ・ライター・メタルマッチ(ファイヤースターター)・トーチなど

◇ 火口(ほくち)
スギなど枯れた針葉樹の葉・樹皮・カンナくず・種子の穂先・麻ひも・紙・段ボール類・ティッシュ・スチールウールなど。市販の着火剤(焚き付けも兼ねる)

◇ 焚き付け
乾燥した細い枝など(割りばしや鉛筆の太さくらい)

◇ 細い薪
直径3~5cm程度の中割サイズの薪※太い薪を割って作るなどする。

◇ 太い薪
直径10cm程度の大割の薪※ホームセンターなどでよく販売している太さの薪。

◇ その他
焚き火台・火ばさみ・ナイフ(ナタ・斧など)・焚き火用グローブ・火吹き棒(うちわ)・消火器具など。

※焚き火では細い薪に火が移るまでが苦労しますが市販の着火剤(通称:ドーピング)を使うと非常にスムーズに進みます。

「薪の燃焼フロー」

100℃ 火にさらされた薪は100℃前後で水分放出。同時に可燃性ガスを発生し始める。

200℃ セルロースなどの炭素の分解が急速に進み一酸化酸素、水素、炭化水素などの可燃性ガスを盛んに噴出。

260℃ 可燃性ガスに引火、薪の燃焼が始まる。300℃で薪が割れ可燃性ガスが噴出、薪の炭化が進む

600℃ 熱分解が加速、600℃以上になると炭化水素などの可燃性ガスが自然着火。この状態から薪自体が炎を上げるようになる。

700℃ 可燃性ガスの放出が終了。炎のない熾火(赤熱燃焼)が始まる。ここからはあまり酸素を必要としない。

上記の通り、薪をガス化させることにより燃焼は進んでいきます。

また、薪は含水率20%以下の乾燥したものでないと燃えにくくなります。かといって乾きすぎてもよくなく含水率が10%以下になると、急激な熱分解により酸素の供給が追い付かず不完全燃焼を起こし煤や煙がでやすくなります。
最も燃焼効率が良いのが含水率15~20%の薪といわれています。薪の含水率を計るのは難しいですが表面の湿り気、見た目や重さなどから判断していきます。
ちなみに木材の含水率を測定できる機器もあります。


最後に薪の原料となる樹木の燃焼特性について

ヒノキ・スギ・アカマツなどの針葉樹は火が付きやすいのが特徴です。
その一方で燃焼時間は短くすぐ燃え尽きてしまいます。
また火力に関してはヒノキ・スギは普通でアカマツ・モミは強いと言われます。ただし、アカマツやモミは煙が多いのが難点です。

広葉樹の薪で良く流通しているのはナラ類。その他使われる樹木としてはサクラ・クヌギ、また薪では高価な部類に入るケヤキやカシなどがあります。
広葉樹は一般的に火が付きにくいが火力が強く燃焼時間が長いのが特徴です。
サクラやケヤキは香りも楽しめ、カシは薪の王様といわれ広葉樹の中でも火力・燃焼時間が優れているといわれています。

焚き火を行う際には針葉樹・広葉樹の薪が一束ずつあると良いです。

以上、火の特性など焚き火の基礎知識について学んできました。

実際、机上でいくら学んでもなかなか身につくものでもないので、何度も失敗を繰り返しながら原因をその都度確認し修正、そして何と言っても楽しみながら上達していくのが良いですね。実践あるのみです!!

参考サイト
様々な火の温度

参考資料

ABOUT ME
インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ