お勉強

富士山を登る植物:四合目 

パッチ状の群落
富士山を登る植物:三合目富士山では、樹木限界を越えるとスコリアなど砂礫の移動が激しい斜面になります。 そのような場所では、フジハタザオやミヤマオトコヨモギが現れます。 かれらは砂礫の移動により、根切れを生じて枯れ死することもありますが、砂礫とともに流されても再びその流された場所で定着するという強さを持っています。...

現在の富士登山は、バスなどで5合目登山口まで移動してそこから山頂を目指すのが一般的です。そしてそのほとんどのルートは森林限界からのスタートとなり、富士山に生育する樹木に触れる機会はあまり多くはありません。

富士山の標高が上がるごとに変化する植物の分布「垂直分布」は、バスの車窓からもその変化を見てとることができますが、やはり登山道を歩きながらの方がよりその変化を感じることができます。
現在でも北口本宮浅間神社を起点とした吉田登山道や青木ヶ原樹海を起点とする精進湖登山道、その他村山登山道須山登山道など、より麓から近い道も昔に比べて廃れたとはいえ、その分登山者も少なく、じっくりと富士山の自然や歴史を楽しめる登山道になっています。

なかでも村山登山道は富士山の登山道でも歴史が古く、長らく富士山の修験道の中心として使われてきました。明治以降衰退し廃道となりますが、近年「村山古道」として復活した富士山南麓の登山道の一つです。

この登山道の垂直分布を見ていくと、1600m以下ではかなり人の手により自然が改変されているものの、ブナ・ケヤキ・ミズナラなどの巨木を見ることができ、かつての森林の一端を垣間見ることができます。
1600mを超えるとウラジロモミが目立つようになり、1750mでは林床にスズタケがはびこるようになり樹林は混交林となります。
1800mからは台風による風損被害の影響と思われるモミ属の大倒木帯があり、2000mに達するとカラマツが混在し始め、その後、シラビソが一帯を優占する2290mの旧1合目小屋跡付近へ至ります。そして、更に標高を上げるとカラマツとダケカンバが目立つようになり、2360m付近にある旧2合目の石室跡に辿り着くと、周辺には矮小化したカラマツの古木が散見されます。そして2390mに至ると盆栽のような形状のカラマツが現れ、このあたりが強風に晒されたことを物語っています。

古い書物からは、旧2合目石室周辺は森林限界よりも上であったという記述が見られます。また、現在この登山道周辺に広がる樹林帯は新6合目(旧4合目)2490m付近に及びますが、1902年撮影の旧5合目石室付近(2550m付近?)の写真では一木一草認められないとのことです。
これらを総括して、富士山南麓斜面の森林はこの1世紀の間にほぼ100mの高さを登ってきたと推測されています。

また、富士山域で最も標高の高い位置(2800m付近)まで森林が覆っている西側斜面ではカラマツの年輪解析により今から150年前には既に現在の位置に達していたと考えられています。それを裏付けるように1848年作といわれる「富士山真景之図」においてもこの付近の標高まで森林らしき描写があります。
標高が高くなるほど植物の登山スピードは鈍化し、やがて一定以上の標高になるとそれより上には多くの植物が登れなくなるということです。

同じ富士山でも、高さや方角・気象条件・噴火や天候の影響・人的影響などにより植物の生育や森林の形成が場所により大きく異なります。
そのような見えているようで見えていない部分に着目し富士山に登ってみるのもおすすめです!!

「ウラジロモミ」
分布帯:亜高山帯 生活環境:森林
生活型:常緑高木 樹高:20~30m 開花時期:初夏

マツ科モミ属の常緑針葉樹で、亜高山帯の下部で見られモミよりも高くシラビソより低く分布します。葉の裏が白いためその名がつけられていますが、葉先はモミほど鋭くありません。小枝は無毛で光沢があります。そして、諏訪大社の御柱にも利用されています。
またその他、モミの仲間と言えばオオシラビソやシラビソ・トドマツなどがありクリスマスツリーの木として知られています。

 

教材資料

ABOUT ME
インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ