クリっとしたまんまるの目、愛くるしい三頭身とも四頭身ともいえる姿、その一方暗闇を音もなく羽ばたき動物を襲うハンター。
「森の狩人」「森の忍者」「森の哲学者」などと称される日本に住むフクロウの仲間たちについて学んでいきます。
日本に生息する野生のフクロウの仲間は現在11種と言われていますが、その中より代表的な7種を紹介していきます。
「フクロウ」
フクロウの仲間の代表格。
最も身近なフクロウの仲間で森林だけではなく大木の残る社寺林や公園などで見られることがあります。
鳴き声も特徴的で分かりやすく「ホーホー、ゴロスケホーホー」と鳴きます。また聞き方によっては犬の遠吠えのようにも聞こえたりします。
姿は体上面が灰白色、下面は白色で、頭・背・腹にそれぞれ濃褐色の縦斑があります。
夜行性で昼間は木の枝や洞などで目を閉じて休み、夕方から活動をはじめネズミなど小動物を音もなく直飛して襲います。
フクロウの仲間は他の鳥たちと異なり、目が頭部の前面についており両目で見れる範囲は広いが視野は狭くなります。
そこでそれを補うため首がぐるりと回り180度以上回転することができます。また聴覚がとても発達しているため、首を回しながら小動物の立てる物音を感じ獲物に狙いを定めます。
フクロウは森の中で食物連鎖の頂点に立ちますがそれゆえ森林伐採や開発により住処や餌となる動物の減少の影響を強く受け、個体数も減少しています。
逆にフクロウが住む森は自然豊かな森とも言えます。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:50cm程度、翼を広げた姿は1m近くにもなる。
分布・季節:北海道~九州で留鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:ホーホー、ゴロスケホーホー
「コノハズク」
木の葉のような色と大きさの日本最小のフクロウの仲間。
「ブッ、キョッ、コー」と甲高い声で夜どうしで鳴き、その鳴き声が仏法僧と聞きなされ、この声の主は似たような環境に生息するブッポウソウであると長い間誤認されていました。
ちなみにブッポウソウはしゃがれたドナルドダックのような鳴き方をします。
姿は灰褐色で黒や灰色の複雑な斑紋が点在します。また中には全体が赤褐色のものもいます。頭上に耳のような羽角(耳ではなく羽毛)があります。
甲虫やガなど昆虫を主食とし、時にはネズミやモグラなども襲います。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:20cm程度。
分布・季節:北海道~九州で夏鳥または漂鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:ブッ、キョッ、コー
「コミミズク」
冬の草原やアシ原で見られる林に住まないフクロウ。
秋になると全国に飛来する冬鳥。日本のフクロクの仲間では珍しく草原や海岸沿い、牧草地を好む。
羽角は短くほとんど見えない、姿は淡褐色で目の周りが縁取りのように黒い。
草原の上を低空飛行で飛び、時にホバリングをしながらネズミなどを捕らえます。
また、ミミズクとフクロウいずれもフクロウ科に属する同じ仲間、主に羽角のある種にミミズクの名がついています。ただ、羽角の有無による名称のちがいはそこまで厳密ではありません。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:38cm程度。
分布・季節:全国で冬鳥
生活環境:草原・牧草地
鳴き声:ほとんど鳴かず(越冬期)
「シマフクロウ」
北海道の原生林にすみ、サケを捕らえる特大フクロウ。
北海道中央部から東部の河川、湖沼沿いの林に暮らす。
日本のフクロクの仲間では最大。
長く幅広い羽角を持ち、翼は幅広く尾羽は短い。全体的に灰褐色。
主食はサケやマスなどの川魚、水辺が氷結する冬場は小型の哺乳類や鳥類も襲います。
シマフクロウは古くからアイヌの地で村で村の神を意味するコタンカムイと呼ばれ神格化されていました。
ちなみにシマフクロウやシマリスなどに冠されている「シマ」は北海道のことを指します。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:71cm程度。
分布・季節:北海道中央部~東部で留鳥
生活環境:平地~山地の原生林
鳴き声:ボォーボォー(オス)それに応答し、ウォー(メス)
「トラフズク」
長い羽角を持つ虎斑模様のフクロウ。
北海道~本州中部で繁殖し、冬に雪が降らない地方で越冬。またシベリア方面から冬鳥として各地に渡来。
フクロウにはめずらしく数羽から数十羽の群れをなして越冬します。
その姿は羽角が長く直立し先がとがり、体上面は黒・褐色・白の複雑な斑紋、体下面は黒褐色の縦斑と細かい横斑の虎模様。
農耕地や河原など開けた場所で狩りを行いネズミや小型の鳥を捕えます。またカラスやタカ類の古巣を利用して繁殖します。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:38cm程度。
分布・季節:全国で漂鳥か冬鳥
生活環境:平地~山地の林、農耕地、河原
鳴き声:ホオーウ ホオーウ
「オオコノハズク」
小柄な体に大きな羽角を持つコミミズクより少し大きいフクロウ。
晩春ごろから樹洞に巣をつくり、つがいでヒナを育てます。
体は褐色・灰白色・黒色の複雑な斑模様で、後頸にある灰褐色の筋が大きな特徴。
小さな顔に対して大きな羽角は休んでいるときはカモフラージュとして立て、活動時には羽角をたたんでねかせます。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:24cm程度。
分布・季節:北海道~沖縄本土で留鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:クァーオ、クァー、クーイ、ウオッ、ウオッ
「アオバズク」
小型で俊敏な、タカに似た姿のフクロウ。
夏鳥として全国に飛来、青葉の季節にやってくることから命名されています。
角ばって見える顔と長めの尾羽、翼下面の鷹斑模様から小型のタカのように見られることがあります。鳴き声はフクロウに似ます。通常、樹洞に巣をつくりますが、人家の穴や隙間など建造物につくることもあります。
分類:フクロウ目フクロウ科 大きさ:29cm程度。
分布・季節:全国で夏鳥
生活環境:平地~山地の林
鳴き声:ホッホー、ホッホー
フクロウの仲間は、多くが森に住み夜に活動するため、私たちが住む街では普段見かけることはありません、またその特徴的な鳴き声すらめったに聞くことはありません。
なのでキャンプなどで山や森に行ったとき、田舎に帰った時など、静かな夜にそっと耳を澄ますて見てください、森の奥からフクロウ達のあの鳴き声がきこえてくるかもしれません。
ホーホー、ゴロスケホーホー ホーホー、ゴロスケホーホー ホーホー、ゴロスケホーホー 、、、、、