高気圧に覆われると天気が良くなり、低気圧や前線が近づいてくると天気が崩れてくるというのは天気予報でよく聞きます。
そして、高気圧や低気圧、前線にも色々な種類があり、それぞれ異なった性質を持ちさまざまな影響を天気にもたらします。
今回は、それらがどのように作用し天気が変化していくのかを学んでいきます。
まず、高気圧ではその全域が晴れているのではなく、後面(西側)で雲が広がりやすくなります。また、前線を伴った温帯低気圧では先に温暖前線が接近することが多くなります。
その温暖前線の構造は、前線に近いところから、乱層雲・高層雲・巻層雲・巻雲という並びで形成されます。
したがって、前線が接近し天気が崩れていく場合には、まず上空に巻雲(湿った感じのする毛状の雲)が現れ、次第に広い範囲に雲が広がり巻層雲(うす雲)に変化していきます。さらに雲が厚みを増し高層雲(おぼろ雲)に変化、やがて薄暗い灰色の雲、乱層雲(あまぐも)に覆われ雨が降り出します。高い山などでは高層雲の雲底が低くなり霧に覆われると雨が降り出します。(地上より先に山の天気が先に崩れる理由の一つでもあります。)
例を出すと、
現在地の天気は晴れ。天気図を見ると高気圧の中心がすぐ近くにあり、西から前線を伴った低気圧が近づいている。このままの進路だと温暖前線に覆われ、現在地のやや南を低気圧の中心が通過、ただ寒冷前線は南西方向に延びているため、覆われることはないと予想される場合。(下記の天気図、内陸部あたり)
時間の経過とともに次第に高気圧の後面に入り、巻雲が広がっていきます。やがて巻層雲に変わり空全体が薄曇りに。その後、雲が厚みを増し高層雲に変化し曇り空、そして雲底が低くなって乱層雲に変わり雨が降りだします。この雨は強い雨ではなく、しとしと雨の弱い雨でその雨がしばらく続きます。
低気圧の中心がやや南を通過しても雨は続きます。
そして、低気圧通過後は寒冷前線に覆われることもなく、雲は急速に取れていき、上層の巻雲・巻層雲になり、やがて青空が広がっていきます。日本海側の地方では低層の層積雲(うね雲、高い山では雲海)が残りますが、太平洋側で空気も乾燥し爽やかな好天に恵まれます。
また、上記と天候の条件は同じで、現在地が通過する低気圧の中心の南側に位置。つまり低気圧が北側を通る場合にはどのように天気は変化するのでしょうか?(上記天気図、太平洋側地域)
温暖前線が通過するまではおなじ天気の変化をします。その後低気圧の中心が北側を通過したとき、一旦雲のない晴天域に入ります。
この時、平地では晴れることが多いですが、低気圧の南側では湿った南西の風が吹き、山では雲が広がりやすくなります。(いずれにしても一時的に雨が上がるという事です。)
そして、中心から南西に延びた寒冷前線が接近すると、発達した積乱雲の影響で短時間に強い雨が降ります。
その後は、移動性高気圧の前面に出る事で天気が回復していきます。ただし、低気圧の後面で寒気が強い場合には山では天気の回復が遅れます。
特に日本海側などでは低気圧通過前より通過後の方が荒れた天気となり、気象遭難の発生も低気圧通過後の方が圧倒的に多くなります。
また停滞前線の場合には、前線の北側は温暖前線の同じような雲の並びになりますが、停滞前線は動きが遅いため、巻層雲から高層雲そして乱層雲などと変化はせず同じような天候が続くことが多くあります。
そして、停滞前線が波を打つように延び、その盛り上がった部分のすぐ下(南側)の地域では積乱雲が発達し強い雨域になり注意が必要です。さらに停滞前線は、西から東へと天気が変化せず南北に移動することも知っておく必要があります。
このように天気図で、高気圧や低気圧、前線の位置等を確認。それらがどのような性質のもつのかもあらかじめ把握し、今後の進路と雲の変化を予測するだけでも、ある程度天気が予想できます。
そういう意味では、まずは毎日天気図を確認する事がその第一歩となります。
ちなみに、気象庁発表の実況天気図「日本周辺域天気図」は、3時間おきに観測時刻の約2時間10分後に発表されます。
つまり、朝9時の実況天気図は11時10分頃、昼12時の実況天気図は14時10分頃、以下同様に3時間毎の発表です。
朝、通勤前であれば8時10分頃発表の6時の天気図、登山前では5時10分頃発表の3時の天気図をまず確認しておくと良いでしょう。