どもインタープリタータケザワです。
今回も富士山について学んでいきます。
残念ながら2020年の富士登山は禁止になってしまいましたが、
富士山は気温が低く風の強い、そして天気も変わりやすいという事で登山に限らず行く際には天気の確認は必須です。
そこで今回は富士山の気象に関して学んでいきます。
まず富士山の気温について、
富士山頂の1981年~2010年における30年間の平均気温はマイナス6.2度。10月より5月までの期間は常に平均気温が0度を下回ります。
これまでの観測における最低気温は1981年2月27日観測のマイナス38度。最高気温は1942年8月13日に記録された17.8度。
続いて風について
富士山の年間の平均風速は約12m/秒、夏季で約8m/秒・冬季で約20m/秒。山頂において最大風速を10m/秒超える日は年間345日、15m/秒超える日も年間305日という記録が過去にあります。
これまでの最大瞬間風速は1966年9月22日に記録した91m/秒、1945年4月5日には最大風速(10分間の平均風速)72.5m/秒を記録しています。
風速は10m/秒では傘をさしたまま歩くことはできず、風速15m/秒を超えると立って歩くことができない強さになります。
富士山頂付近では毎日台風が来ているような感じですね。
富士山は標高3776m。高度が100m上がることに約0.6度気温が下がります。それにくわえて上記の風による影響も加わります。
独立峰なため、吹き付ける風が衰えることなく山体に沿って中腹の大気を押し上げて頂上へ上昇していきます。
そして押し上げられた大気が気圧の違いによって膨張し気温をさらに下げます。冬季が特に気温が下がりマイナス10度以下になるのは、その時期の季節風の影響が強いためなのです。
山頂の平均気圧は637.8ヘクトパスカルで平地のおよそ3分の2。水の沸点は87.8度でご飯が上手く炊けません。
また、スナック菓子などの密閉された袋が標高が上がるにしたがって膨らむ現象も気圧の低下によるものです。
高山病の要因も気圧が下がることで空気が薄くなりそれに伴い空気中に含まれる酸素の量が減ることで、身体がその変化に順応できず起こるものですね。
そして富士山周辺の年間降水量は推定で3000mm程度といわれ(日本の年間降水量は1700mm程度)、降雪は真冬の時期より春先の3月・4月が多くなる。これは冬季は冬型の気圧配置の影響により少なく、春先からは温帯低気圧や気圧の谷の通過が多くなるためです。
この春先の雪は富士山の気象災害につながる一つになります。一般的に「雪崩」として知られる現象で、富士山では「雪代」とよばれます。
雪代は雪が崩れるのにとどまらず、スコリアなどの砂礫や土砂とともに流下し麓の田畑や人家を一瞬にして押し流したという記録も残っています。
事実、富士山の北麓、上吉田の町は本来北口本宮浅間神社の参道より下った南面(古吉田と呼ばれる場所)にありましたが、度重なる雪代の災害により影響の少ない西よりの現在の場所に移転しています。(現在は導流堤や擁壁の設置により麓の街に影響が出ることはない)
また、富士山には雪代ではないが日本最大級といわれる土砂崩れが起きる「大沢崩れ」という場所があります。
大沢崩れは山頂直下から標高2200m付近まで日本最大級の土砂崩れが起きている場所にあり、最大幅500m最大深さ150mの巨大な溝で富士山を常時浸食しています。
遠く離れた朝霧からもその崩れている様子、轟音を見聞きできます。
土砂崩れによる年間の土砂量はおよそ16万立方メートル。10t積みのダンプでおよそ3万2千台分、この崩壊が続けば1000年後には崩壊部が山頂に達し山頂が真っ二つに裂けてしまう説もあるほど大きな問題になっています(現在は国土交通省富士砂防事務所が富士山の土砂災害を含めたさまざまな整備を行っています。)
続いて富士山の雲。
富士山の雲といえば頂上付近を覆う「笠雲」が良く知られていますね。
富士山が笠雲を被ると雨が降るとよく言いますが必ずしもそうではありません。
ただし、降る可能性が高くなるのは確かです。そのあたりの話は下記のブログを確認ください。
その他レンズ雲や吊るし雲も富士山ではたびたび見られます。
富士山へ行く際にはそれぞれの雲の特性を理解することも必要になります。
以上、富士山の気象について学んできました。
このように学んでみると富士山は、他に山に比べ山小屋も充実し登山道もよく整備されていますがひとたび気象災害に見舞われれば命の危険を伴います。
頂上への登山のみならず、麓であっても気象の変化やその特性について十分に理解を深めておく必要があると再認識しました。