天気

山登りは好きだけど冬山はやらないって人多くない??

今回は冬の天気について。

天気を学ぶ:秋の山の天気8月の末頃から、太平洋高気圧の勢力が後退し夜の訪れが早まり昼間の日射しも弱まってくると、いよい秋が到来します。 今回は気象遭難が発生しやすくなる秋の天気について学んでいきます。...

太平洋側地域に暮らす私にとって、冬の天気は他の季節に比べると安定しているイメージがあります。

確かに寒かったり、雪が降ったりとあるけれど晴れる日が多い。富士山も圧倒的に12月以降のほうがその姿をよく見ることができます。それだけこの時期は空気が乾燥していて湿気が少ないという事ですが、それでも強い寒気が入ってくるとたちまち天気は悪化し、山においては命の危険に晒されます。
冬の季節は特に麓と山では大きく気象状況が異なるのです。そして地域によっても。
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そんな冬山における気象の特徴について今回は学んでいきます。
「天気を学ぶ:冬山の天気」第一弾です。

まず冬の期間をおおよそで定義すると、12月〜2月になります。

通常、11月中旬頃より冬型の気圧配置とよばれる西高東低の気圧配置が出現することが多くなり、この頃から地域によっては降雪が始まります。
12月に入ると強い寒気が南下することで日本海側の山では1mを越える積雪に見舞われ沢筋では雪崩が頻発するようになります。
そして、クリスマスを過ぎた年末年始あたりより寒波が襲来し本格的な冬山シーズンとなります。
そして、2月中旬から下旬頃まで冬型の気圧配置が強弱を繰り返しながら続いていきます。

冬は一年で最も平地と山の気温差が大きい季節であり、2000mを越える山岳では寒波が襲来すると日中でもマイナス20℃を下回ることもあり、日本海側では本州の1500m級の山でもマイナス10℃、太平洋側ではマイナス5℃を下回るようになるため、十分な防寒対策が必要になります。

そして、冬山において警戒しなけばなならない気象現象は3つ。

大雪・暴風・低温です。

これらは冬型の気圧配置が強まる時や低気圧が発達しながら日本列島を通過するときに発生しやすくなります。
ただ、いずれも天気予報でその情報を事前に得ることができるので、山に入る一週間前より天気予報や天気図を必ず確認しましょう。
また、冬の天気は変化のパターンがある程度決まっています。

冬型の気圧配置(西高東低)→移動性高気圧に覆われる→温帯低気圧が通過ふたたび冬型に。

このパターンで天気に恵まれるのは移動性高気圧に覆われているとき。この到来を狙って入山するのが良いですが、移動性高気圧に覆われている期間は短く半日から1日程度。そのため、2日以上に渡る中長期の山行ではその山域の天気の特徴・実際の気象状況の把握、大荒れに見舞われた際のプラン及び判断が必要になってきます。

冬山登山に慣れないうちは、スキー場のすぐ近くにあるような下山しやすい山を選んで楽しむのが良いですね。

真っ白に覆われた景色を人とほとんど出会うことなく登る冬山は格別のものがあります。そして人と出会った時のほっとした気持ち、同志がここにいたのかという安心感。他の季節では味わえない冬山登山。「冬山はやらん」という方にも天気を学んでぜひチャレンジして欲しいです。
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孤独な冬山登山

参考資料

ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ