前回、「梅雨の仕組み」について学んできましたがその続きです。
梅雨は、日本において北海道と小笠原諸島を除いた地域でみられる気象現象、そして季節の一つです。
その発生のしくみから日本を中心とした東アジアの地域でみられ日本以外にも中国の一部や台湾・朝鮮においても梅雨入りがあります。ただ、日本の各地域ほど長くは続かないようです。
日本各地の梅雨の平均期間(気象庁データより)1981年~2010年の30年間の平均値
地方 | 梅雨入り | 梅雨明け |
沖縄 | 5月9日ごろ | 6月23日ごろ |
奄美 | 5月11日ごろ | 6月29日ごろ |
九州南部 | 5月31日ごろ | 7月14日ごろ |
九州北部 | 6月 5日ごろ | 7月19日ごろ |
四国 | 6月 5日ごろ | 7月18日ごろ |
中国 | 6月 7日ごろ | 7月21日ごろ |
近畿 | 6月 7日ごろ | 7月21日ごろ |
東海 | 6月 8日ごろ | 7月21日ごろ |
関東甲信越 | 6月 8日ごろ | 7月21日ごろ |
北陸 | 6月12日ごろ | 7月24日ごろ |
東北南部 | 6月12日ごろ | 7月25日ごろ |
東北北部 | 6月14日ごろ | 7月28日ごろ |
以上あくまでも平均値となります。その年によりかなりのバラツキがあり、年によっては前年と比べて1ヶ月以上ずれる場合もあります。
梅雨入り・梅雨明けの発表は毎年、各地の地方気象台・気象庁により発表されます。
この梅雨の情報が一般的に知らされるようになったのは1986年で、それ以前の1951年から記録としては残されています。
梅雨の情報は農作業や工事など屋外で従事する人そして一般のレジャーを楽しむ人々にとって大きな関心事であり、近年は災害への備えに大きな役割を担っています。
また、日々の忙しい日常において季節を感じさせてくれるお知らせでもあります。
「梅雨」という言葉自体、季語としての側面を持つほかさまざまな関連した言葉があります。
梅雨が付く言葉として
梅雨晴・梅雨雷・空梅雨・梅雨曇・迎へ梅雨・送り梅雨・入梅・梅雨寒・梅雨空・梅雨の月梅雨の星・荒梅雨・走り梅雨など
梅雨が付かない言葉として
五月雨・虹・五月晴れ・虎が雨・薬降る・黒南風・五月川・雨蛙・蝸牛・紫陽花・麦雨・栗花落・黄梅の雨など
多々あります。
空梅雨は、雨が降り続ける梅雨の時期に高気圧に覆われ、梅雨の中休みといわれる好天に恵まれる期間です。梅雨寒は、長雨が続き日照時間が短くなり気温の上下が短くなるため肌寒く感じることから呼ばれ、別名梅雨冷ともいいいます。
梅雨の末期は、前線が活発化し大荒れになることが多く荒梅雨、または暴れ梅雨と呼ばれます。そして、梅雨にも男女がありあまり強くない雨が長く続くような梅雨(ジメジメとした雨)を陰性の梅雨として女梅雨。雨が降るときは短期間に大量に降り、降らないときはすっきりと晴れるような梅雨(カラッとした天気)を陽性の梅雨として男梅雨と呼んだりします。男女の性格イメージ?が表された表現ですね。
日本と同じく一部の地域で梅雨入りとなる中国では、同じく「梅雨」と書きメイユーと呼びます。
そして梅雨にまつわる俳句も多数あり、
五月雨やあつめて早し最上川 (松尾芭蕉)
正直に梅雨雷の一つかな(小林一茶)
木のまたに朝日出でけり五月晴(正岡子規)
五月雨や 大河を前に 家二軒 (与謝蕪村)
紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘(正岡子規)
わが恋は 人とる沼の 花菖蒲 (泉鏡花)
薄月夜 花くちなしの 匂いけり(正岡子規)
雨蛙黒き仏の宙に鳴く(山口誓子)
ころころと笹こけ落ちし蝸牛(杉山 杉風)
など今も昔も多くの句が詠まれています。
梅雨の時期はなかなか外出する機会に恵まれず家にいることが多いですが、俳句などの文学に触れたり、この時期にしか見られない草花や生き物を鑑賞する楽しみもあります。