富士山

富士山トレッキング:宝永火口・樹林帯コース

今回は富士山を楽しむトレッキングコースの紹介です。

富士山で最も標高の高い登山口である富士宮口新5合目をスタートし宝永火口を目指すコースです。

須山登山道
富士山トレッキングコース:須山口登山道〜水ヶ塚公園頂上を目指すだけが富士登山ではないということでさまざまな富士山のトレッキングコースを紹介していきます。 今回は「富士山の南麓、須山...

宝永火口は現在からおよそ300年前、宝永4年(1707年)に16日間にわたって爆発的な噴火が起きて誕生した火口。

すり鉢状の美しい火口が3つ並び、そのうち第一火口と呼ばれる最も大きい火口の規模は直径が約1.1kmと山頂(約700m)よりも大きな火口です。
その火口を目指すのが今回のコースとなります。

3つ並ぶスケールの大きな火口には多くの登山者が圧倒されます。
また、溶岩に覆われた登山道、そのガサガサな溶岩上でも逞しく生きる植物、さらに宝永噴火の難を逃れた樹林帯など見どころ沢山のトレッキングコースとなっています。

コースを紹介します。
富士宮口新5合目登山口(標高2400m)をスタート。
コンクリートの階段を上がると、いきなり溶岩が剥き出しの登りが始まります。
公衆トイレを右手に見ながら進んでいきます。

しばらく進むと目の前がひらけて、ブル道と呼ばれる物資などをブルードーザーで運ぶ道と並行して、登山道が続いていきます。

左手のスコリア層に目を向けると富士山の植物が群落を形成しているのを見ることができます。
また、天気が良ければ見上げれば頂上に続く登山道や山小屋が、眼下には富士山に広がる森林や麓、周辺の山々、そして海を望めます。

スタートして30分ほどで、富士宮口新6合目(2495m)に到着。2軒の山小屋があります。

山小屋の手前には割れ目のような谷間が見られますが、これはかつての噴火の跡、割れ目火口と呼ばれるものです。
この火口は平安時代に起きた割れ目噴火で、8合目から5合目の下まで縦に長く割れ目が続いています。



そして、新6合目からは頂上へ登る道と宝永火口へ続く道と分かれます。
ここからは東へほぼ並行移動になりますが、道幅は狭くなるため、滑落や落石に注意しながらゆっくりと安全第一で進んでいきます。

10分ほどで第一火口の分岐(2460m)に到着。
ここでついに宝永火口及び宝永山が姿をあらわします。
写真では伝わらない圧倒的なスケール、ダイナミックな景色を見る事ができます。

ちなみに3つの火口には、それぞれ第1〜第3まで数字がつけられていますが、これは高い場所から順に1〜3とつけられており、噴火のタイミングとしては最後に第1火口が噴火したと言われています。




第1火口へ下りていきます。
この火口へ下りる道はこのコースで最も注意が必要な箇所になります。
慎重に足元に気をつけながら進んでいきます。
火口へ近づくにつれて道幅は多少広くなっていきますが、ゴロゴロとした火山礫の上は歩きにくいので、引き続き慌てず注意して進みます。


そして第1火口(2420m)へ到着。
火口内では大きな火山弾が転がり、宝永山の赤く焼けた岩肌や、火口のへりには岩脈(別名十二薬師岩)と呼ばれるマグマが古い地層を突き破って貫入した岩が見られます。

火口にはベンチなどもありますが、至るところに転がる火山弾を見てわかるように落石の起こる場所であるため長居は無用、休憩したら元の分岐へ戻っていきます。
宝永山の山頂(2693m)を目指す場合にはそのまま登山道を進んでいきます。

第1火口へ戻ってきたら帰路は樹林帯を進むため、第2第3火口へ続く登山道を下っていきます。
火山礫が転がるがれ場を下りるため、転倒や足の挫きに注意して進みます。



15分ほどで第二火口分岐(2352m)へ到着。
昼食などをとるなら、落石の危険がある火口よりこちらがおすすめです。

樹林帯に入ります。
シラビソやダケカンバ、カラマツが優占する森を歩きながら5合目登山口へ戻っていきます。季節によって富士山に咲く花も見られます。
樹林帯内の登山道は特に危険な場所はありませんが、転倒や上の登山道からの落石に念の為注意して進みます。

6合目から見られた割れ目火口を通過するともう少し。
第2火口分岐から20分ほどでブル道の基地に到着。すぐ目の前には5合目登山口の車道及び駐車場、ここがゴールとなります。

所要時間2時間ほどのコンパクトな行程ですが、見どころ豊富で十分に富士山を楽しむ事ができるトレッキングコースとなります。

最後に。
富士宮口五合目登山口は例年7/10から9/10まではマイカー規制となります。
また、登山口へはGW頃には冬季閉鎖が解除され行くことができますが、その先の登山道は(宝永までの登山道含む)6月末頃まで閉鎖で行く事ができない場合があります。

9/10以降、例年11月3日の文化の日頃までは宝永山に行く事ができます。
そう意味でこのコースは9/10以降の秋に行く事がおすすめになります。



ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ