『常陸国風土記』には、富士山に関するちょっと面白い話が載っています。その中でも注目したいのが、「富士筑波伝説」と呼ばれる説話です。この話は筑波郡条に書かれているんです。
富士筑波伝説ってどんな話?
ざっくり言うと、こんな内容です:
- 神祖の尊(かみおやのみこと)が旅をしていて、駿河の国にある福慈岳(ふじのやま・富士山)にやってきます。
- 神祖の尊が富士山の神様に「泊めてほしい」と頼むと、収穫祭でお祓い中だからダメ、と断られます。
- ムッとした神祖の尊は、富士山に向かってこう言い放ちます。「お前の山は、一生ずっと冬も夏も雪や霜に覆われて、人が登れない山になるだろう!」
- その後、筑波山を訪れると、筑波山の神様は収穫祭の真っ最中でも快く歓迎してくれて、しっかりもてなしてくれました。
- 結果として、富士山はいつも雪に覆われて誰も登れない山に。一方で、筑波山は人々が集まって歌ったり踊ったり、楽しく過ごせる山になりました。
富士山の書き方と描写
- 『常陸国風土記』では、富士山のことを「福慈」や「福慈岳」と書いています。
- また、「冬も夏も雪や霜で覆われていて、寒さが厳しく、人が登ることもなく、供え物もされない」といった描写がされています。
この話の意味は?
この説話にはこんなポイントがあるんです:
- 富士山と筑波山を比較して、それぞれの違いをハッキリ描いています。
- 富士山を遠くから見るだけの霊峰としてだけじゃなく、関東平野から見える親しみやすい存在として考えていたことがわかります。
- 筑波山を人が集まる賑やかな場所として描いていて、当時の文化が垣間見えます。
この話は、8世紀の人々が富士山をどう見ていたのか、また地域の文化や信仰を知る手がかりとして、貴重な資料なんです。
ABOUT ME