今回は火山としての富士山をテーマについて学んでいきます。
以前、富士山の成り立ちについて触れていますが
富士山は古来より噴火を繰り返しながら今の新富士火山と呼ばれる私たちが見慣れた富士山として形成されました。
そして富士山は活火山です。
富士山が最後に噴火したのは今からおよそ300年前の西暦1707年宝永の大噴火。
それ以来噴火をしていませんが、活火山とは将来も噴火を起こす可能性のある火山で、最近1万年以内に噴火したことがある、もしくは現在も噴気活動の見られる火山と定義されています。
というわけで、現在は噴火の兆候もない静かな富士山ですがいずれ噴火することが予想される火山に分類されます。
現在のところ、日本国内で活火山に見なされているのは111の火山です。
また、火山とは地上の岩石が融けてできたマグマが地表に到達し、マグマや岩石のかけらを吹き出し、盛り上がった山などの地形のことを言います。
地球上においてマグマが活動する場所は大きく分けると三つと考えられています。
一つは、マグマが生産されるプレートができる場所である海嶺。
マグマの噴出量は最も多いが、ほとんどが水深3000mの海底にあるため目にすることはできません。
続いて、ハワイのようにプレートの中にできた火山でホットスポット火山と呼ばれるもの。そして、プレートが沈み込む場所(プレートの境界など)にできた火山で沈み込み帯の火山と呼ばれる島孤火山です。
日本をはじめカムチャッカ、アリューシャン、北米西部、中南米の西部の太平洋を囲む火山、インドネシアやフィリピンの火山はこの火山です。
この沈み込み帯では海のプレートより水が供給されることで、比較的低温で岩石が融けマグマがつくられます。
その結果、火山活動は活発となり、マグマの中には数%程度の水が含まれ爆発的な噴火が起きやすくなります。
水の力がマグマ、噴火そして火山に大きな影響を与えているという事ですね。
富士山におけるマグマは、日本の火山としては珍しく99%以上が玄武岩マグマとよばれるマグマの活動でつくられています。
富士山以外の日本の火山のほとんどは、安山岩やデイサイトなどのマグマです。
富士山が玄武岩マグマによって形成されている理由は、富士山のマグマだまりが20kmよりも深い位置にあるためと考えられています。
マグマだまりが10kmかそれより浅いと、マグマが冷えて結晶を出しながら化学組成が変化し、安山岩やデイサイトに変わりますが、富士山のように深い位置にマグマだまりがあると、別の種類の結晶を出すため化学組成が変わっても玄武岩のままでいることになるとのことです。
いまいちよくわかりませんが、マグマだまりが他の日本の火山と比べて深い位置にあるということをまずは知っておけばいいかとおもいます。
そしてこの玄武岩マグマにより形成された火山という特徴に加え、富士山で活動したマグマの噴出率は他の日本の火山に比べて10倍!!
そのため、10万年という短い年月の間に400~600㎥の体積と3776mの標高を誇る日本一の山となったのです。
いずれ噴火が予想される活火山である富士山。
もし現代において富士山が噴火したらという予測もされています。
例えば、宝永の大噴火と同様の噴火が起きたと仮定すると、東海道新幹線、小田原から横浜間ではレール上に火山礫や火山灰が20cm以上埋まり新幹線は運行不能になります。
東海道線などの在来線も同様で、東名高速などの道路もたくさんの火山灰などが積もることで車も通行不能。と富士山から首都圏に至る広範囲で交通機能が失われた状態になることが予想されています。また、火山灰が降っていると飛行機は飛ぶことができません。農業などにも大きな影響を及ぼします。
宝永の大噴火では噴火による直接の死者はでなかったようですが、火山礫などの影響により農地は使えなくなり、雨が降るたびに土石流や洪水が発生、多くの餓死者や行方不明者がでたようです。
現代においては同じような影響はないでしょうが、宝永のそれとは全く異なる大きな影響が予想されています。
そして富士山など火山ではそのような噴火に備えて、噴火予知の研究や火山観測、ハザードマップなどの作成が行われています。
日本における火山観測の歴史は100年にも及び、様々な手法でマグマの動きをとらえる観測がなされています。
例えば、マグマ活動に伴う火山周辺の地震活動を観測する地震観測、マグマの体積変化、移動に伴う山体変形を観測する火山性地殻変動の観測、その他重力観測や地磁気観測などがあります。
富士山においても、多くの噴火の形跡が残るの南東から北西を中心にさまざまな観測装置が設置され、気象庁により24時間体制で噴火の兆候がないか監視されています。
また、火山噴火から身を守るためのハザードマップ、富士山火山防災マップも公表されています。
溶岩流や大きな噴石が到達する範囲、火砕岩及びその周辺の高温の灰交じりの風が到達する範囲、過去の災害範囲などが示されています。
また富士山周辺各市町村の避難ルートマップも公表されているのでそちらもあわせて参照ください。
今のところは噴火の予兆もなく安全に登れそうな富士山。
ただ、活火山であることは忘れず、万が一噴火したとき自らの安全を守るための火山の知識や適切な行動をするための避難ルートなどを事前に把握しておく必要がありますね。
富士山火山防災マップ – 富士山火山防災協議会 – 内閣府防災
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参考資料