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富士山構成資産を巡る旅:千円札の絶景と「ゆるキャン△」の聖地!龍神が守る「本栖湖」~過去、現在、未来へ~

こんにちは!前回に引き続き、世界文化遺産「富士山」の構成資産を巡る旅をお届けします。今回は、「本栖湖」とその守護神とも言える「竜ヶ岳」に焦点を当て、その歴史と物語、そして深く結びついた富士山との関係を、千円札の図案と共に、そして近年注目を集める「ゆるキャン△」の聖地としてもご紹介します。過去の歴史、近年の変化に加え、本栖湖で楽しめるアクティビティ、特にキャンプについて詳しくお伝えします。

前回の記事では、富士五湖の中で最も小さく、静寂な美しさを持つ「精進湖」をご紹介しました。

イギリス人も絶賛!世界が注目した精進湖の魅力とは?富士山の北西に位置する「精進湖(しょうじこ)」は、富士五湖の中でも最も小さな湖ですが、その静かな佇まいと、自然・文化的な価値から世界遺産...

今回は、その精進湖とも深い関わりを持ち、富士山の雄大な姿を映し出す神秘の湖「本栖湖」、そして、その傍らにそびえる「竜ヶ岳」の、歴史と物語、千円札の絶景、そして近年の変化やアクティビティ、そして「ゆるキャン△」の聖地としての側面にも迫ります。

本栖湖とは?

本栖湖は、富士五湖の中で最も西に位置する湖で、周囲約12km、最大深度約121mと、最も深い湖です。透明度が高く、湖底まで見渡せるほど美しいのが特徴です。富士山の噴火によって形成された堰止湖で、その静かで神秘的な雰囲気は、訪れる人々を魅了します。

 

本栖湖:千円札の風景と「ゆるキャン△」の舞台

本栖湖といえば、何と言っても旧千円札(野口英世)の裏面に描かれた富士山の風景が有名です。この絶景は、写真家・岡田紅陽氏が本栖湖畔から撮影したもので、湖面に映る逆さ富士と雄大な富士山の姿は、まさに日本の象徴とも言える美しさです。早朝や夕暮れ時には、湖面と空の色が混ざり合い、幻想的な風景が広がります。この風景は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

そして近年、本栖湖は、人気アニメ「ゆるキャン△」の舞台としても注目を集めています。アニメに登場する風景を求めて、多くのファンが本栖湖を訪れるようになりました。

本栖湖:富士山の噴火が生んだ湖

本栖湖は、富士山の噴火活動によって生まれた堰止湖です。かつて「剗(せ)の海」という巨大な湖の一部だったこの地は、度重なる富士山の噴火によって分断され、現在の本栖湖、精進湖、西湖が形成されました。この湖の形成は、富士山のダイナミックな活動の証であり、その歴史は、湖底に眠る太古の記憶とともに、私たちに語りかけてきます。

竜ヶ岳:龍神が宿るとされる山

本栖湖の東側にそびえる「竜ヶ岳」。その名の通り、山頂付近の地形が龍が横たわっているように見えることから、古くから龍神伝説が語り継がれてきました。人々は、竜ヶ岳を単なる山としてではなく、龍神が宿る神聖な場所として敬い、畏怖の念を抱いてきました。

竜ヶ岳と富士山の関係:伝説と信仰

竜ヶ岳は、富士山と深く結びついた存在として、古くから信仰されてきました。この地に伝わる伝説では、竜ヶ岳の龍神は、富士山の神の使いであり、本栖湖の水を守護する存在として語られています。富士山が噴火すると、龍神がその怒りを鎮めるために現れる、という言い伝えもあります。富士山と本栖湖、そして竜ヶ岳は、常に一体のものとして捉えられ、この地の信仰文化を形成してきたのです。

竜ヶ岳の伝説:雨乞いの龍神

竜ヶ岳にまつわる伝説で有名なのは、雨乞いの龍神の話です。かつて日照りが続いた時、村人が竜ヶ岳に向かって雨乞いを祈願したところ、たちまち雨が降り、村は救われたと言われています。この伝説は、竜ヶ岳が地域の住民にとって、単なる山ではなく、生活を支える守護神として崇められていたことを物語っています。

本栖湖畔の縄文遺跡:いにしえの人々の暮らし

本栖湖では、縄文時代の遺跡がいくつか発見されています。これらの遺跡は、縄文時代の人々が、本栖湖の豊かな自然の中で暮らしていたことを物語っています。出土した土器や石器は、当時の人々の生活や文化を今に伝えます。彼らは、湖の恵みと山の恵みを受けながら、自然と共存する生活を送っていたと考えられます。

近年の本栖湖:アクティビティと「ゆるキャン△」キャンプが人気

近年、本栖湖は、美しい景色を楽しむだけでなく、様々なアクティビティを楽しめる場所としても人気を集めています。

  • カヌー・カヤック: 透明度の高い湖面を漕ぎ進むのは格別です。水面から見上げる富士山の姿もまた違った魅力があります。

  • SUP(スタンドアップパドルボード): 人気のSUPも楽しめます。ゆったりと水面を散歩する感覚を味わえます。

  • 釣り: ヒメマスやワカサギなどの魚釣りも楽しめます。

そして、特に人気が高いのがキャンプです。本栖湖周辺には、いくつかのキャンプ場が整備されており、湖畔でキャンプを楽しむことができます。テントを張って、満天の星空の下で過ごす時間は、都会の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。

特に、浩庵キャンプ場は、千円札の風景を撮影できる場所として有名でしたが、近年はアニメ「ゆるキャン△」の舞台となったことで、さらに人気が高まっています。アニメに登場する場所を巡る「聖地巡礼」を楽しむファンも多く、キャンプ場は賑わいを見せています。

近年の本栖湖:変化と保全の課題

近年、本栖湖は、観光客の増加や環境問題など、様々な課題に直面しています。しかし、同時に、環境保全への意識も高まっており、地域住民やボランティア団体による清掃活動や、水質改善のための取り組みが進められています。また、観光客に対しても、環境保護への協力が呼びかけられており、持続可能な観光の実現を目指す動きも活発化しています。

本栖湖と竜ヶ岳:過去と未来を繋ぐ場所

本栖湖と竜ヶ岳は、単なる景勝地ではなく、古くから人々の信仰を集めてきた場所です。千円札の図案にもなった絶景、「ゆるキャン△」の舞台、富士山の噴火が生み出した地形、龍神伝説、そして縄文時代の人々の暮らし、そして現代のアクティビティ。この地には、歴史と文化、そして自然が豊かに息づいています。

私たちは、これらの歴史と文化を学び、次世代に継承していく必要があります。同時に、近年の変化や課題にも目を向け、持続可能な未来を築いていくことも重要です。本栖湖と竜ヶ岳が、これからも人々にとって、心のよりどころとなる場所であり続けるために、私たち一人ひとりができることを考えていくべきでしょう。

ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ