今回は、個人山行で行ってきた新潟県と長野県の県境に位置する「雨飾山」について紹介します。ちなみに山行(サンコウ)とは、山歩き・登山の事をいいます。
雨飾山は、アマカザリヤマと読みます。標高1963mで、深田久弥著「日本百名山」にも登場する山のひとつです。
後立山連峰の北東側に位置しその影に隠れているためか比較的マイナーな山になりますが、良い山です。
雨飾山は、新潟県糸魚川市雨飾温泉側と長野県小谷村(おたりむら)小谷温泉側にそれぞれ主要登頂ルートがあり、私は今回小谷温泉側からのルートを選びました。一般的にもこちらのルートを利用する登山者が多いようです。
深田久弥はこの山に三度目の正直で登頂していますが、一度目は新潟県側、二度目は長野県側と、いずれも道がわからずに撤退しています。そして戦後になり案内人を立てることで長野県側から登頂しています。
季節は見事な紅葉に彩られた10月末、天気も良かったようで周囲の山はもちろんこと、日本海を越え能登半島の姿もくっきり見えたようです。
紅葉を愉しみたいなら10月の中旬以降がベストな登山シーズンになります。
そして、わたしが登ったのは7月末。
この時期は見事なブナ林と高山植物が愉しめる時期です。
ただ、梅雨末期の連日雨が降り続く真っ只中だったということもあり、雨に降られ続けた少し残念な山行となりました。
登山開始地点は、雨飾山登山口(標高1156m)。無料のアスファルト駐車場があります。
ちなみにバスの場合は雨飾高原バス停(標高982m)からのスタートになり、登山口までは登りで1時間程度です。
深田久弥が登った昭和の初めと違い、登山道は頂上までしっかりと整備されています。
登山口から頂上に至るまで緑が広がる自然豊かな山、それが雨飾山の大きな特徴です。
水が豊かなため植物らにとっては生育にとても良いようですが、その一方水捌けが悪く、雨続きの土壌はぬかるんだ状態で、シューズはもちろんパンツも膝くらいまでは泥にまみれてしまいました。
また、ルート途上、荒管沢(アラスゲサワ)という沢を渡りますが大雨だと増水して渡るのが困難になります。沢の上を見るとまだ残雪が。
現在の登山道はこの沢を左に見ながら右巻きに稜線へとりつき、笹平を経由し雨飾山山頂へ至りますが、深田ら一行はそのままこの荒菅沢を登り、布団菱という巨大な岩峰を経由し山頂直下の稜線へとりついています。
(上記写真中央やや左の鋭く見える山が雨飾山、中央に見える岩峰が布団菱)
この荒菅沢まではまだ天気も良かったのですが、徐々に雲に覆われ、霧が広がり、やがて雨となりました。この先頂上、そして下山時まで雨に降られる事となります。
とはいえ、たとえ天気が悪くても霧や雲に覆われ景色が見えなくとも、自然豊かな森を歩くのは楽しいもので、いろいろな植物に出会うことができました。
稜線、そして山頂では全くといっていいほど眺望は望めませんでしたが、ツインピークス(双耳峰)の山頂にはそれぞれ石仏、祠が鎮座。
これらの石仏は、糸魚川で名の知られた羅漢上人という僧侶が運んだといわれています。
また、雨飾山の由来ですが、頂上にて雨乞いをしたことによるものや、双耳峰であることから両飾山であったものが誤って雨の字があてられたなどあります。ただ、いずれも想像の域を出ずハッキリとした由来はわかっておりません。
終始、雨に降られた自分としては雨がよく降る山「雨降山」がいつの間にか雨飾山と呼ばれるようになったのでは?と思ったりします。
次回は、深田久弥が出会った頂上からの絶景が眺められることを期待に胸を弾ませつつ、紅葉の時期に再訪する予定です。