雪に覆われ白く見えるところは森がほとんどないため積雪がはっきり見え、青く見えるところは森に覆われているため積雪が見えないので、そのように映ります。
この白と青の境界線がいわゆる「森林限界」となります。
雪のない夏の時期であれば緑が消え赤茶けた溶岩に覆われた山肌に変わるところです。
今回はこの富士山の森林限界そして、樹木限界をテーマに学んでいきます。
亜高山性針葉樹林の上限、富士山でいえば標高2400m付近は一般に森林限界とよばれ、景観の変化が著しくなります。それまで森に覆われていた空がひらけ、視界が良好となり低木帯や草原、または岩場や砂礫地に変わるところです。
森林限界の定義としては「連続的に続く樹林が次第に樹高を下げ、一定の樹高になるところ」といわれ、その樹高は3mだったり5mだったり学者らによっても異なるようです。
そしてさらに上部の不連続な群落の中で立ち木状態が保てなくなる限界を「高木限界」、種としての生育が困難になる限界を「樹木限界」とよんでいます。
富士山の西斜面、剣ヶ峰大沢の右岸一体は概ね2800mで森林限界を迎え、2900mで樹木限界に辿り着きます。
この森林限界以上の様相は闘争帯などと呼ばれ植物にとって厳しい環境との闘いの場となります。また森林帯から高山草原への移行帯でもあります。
富士山では噴火の影響もあり森林限界の高さには場所によってかなりの差があります。
最も高い場所は前述した通り、富士山西斜面の2800m、低い場所は、1707年の宝永の大噴火の影響が残る、御殿場口から須走口にかけての南東斜面で1300mとなります。また富士山の森林限界の理論値は2930mといわれているため、現在の最も高い森林でも限界には達していないことになります。
南斜面の森林は100年で100m登ったともいわれており、今後噴火などの影響がなければ剣ヶ峰大沢右岸の森林は、あと百数十年でその限界値に達する可能があります。
現在の富士山は標高2400mの富士宮口や富士スバルライン口などの5合目周辺が平均的な森林限界となっていますが、富士山の森林(植物)が100年で100m登山するとなれば、あと500年で富士山もおおむね森林に覆われた山となります。
そうなれば富士山の植生や生息する動物もおおいに変化していることでしょう。