すっかり富士山周辺も秋めいてきました。
そして先日、2023年10月5日富士山において初冠雪が発表されました。
これは平年より3日遅く、昨年より5日遅い観測です。
富士山の初冠雪とは、毎年秋から冬にかけて富士山頂付近に初めて降雪が観測されることを指します。
詳細な定義としては
「山の全部または一部が、雪または白色に見える固形降水(雹など)で覆われている状態を下から初めて望観できたとき」
更に付け加えると、上記の定義が甲府気象台から観測され、甲府気象台が発表すると正式な初冠雪として認定されます。
つまり、他の地域(例えば静岡県側)から観測されていたとしても、山梨県側が雲に覆われていて甲府気象台から望観できなければ、初冠雪とはならないわけです。
なぜこのような謎ルールになっているのか?と調べてみると、
そもそも甲府気象台では、なんと明治時代1894年から初冠雪の観測が行われておりその記録も残されています。
よってその古くからの慣例に従って甲府気象台からの観測・発表とされていることが考えられます。
ちなみに最も古い記録である1894年の初冠雪日は9月22日、最も早い観測日は2008年の8月9日、最も遅い観測日は2016年の10月26日です。
またもう一つルールがあり
「その年の最高気温を観測した日を過ぎた後から」
というもの。
これは例え初冠雪が観測されても、その後富士山においてその同年の最高気温が観測された場合には初冠雪の基準を満たさないものとされます。
確かにそのような補足のルールがなければその年の初冠雪は毎年1月1日になってしまうし、真夏で時折寒気が入ってきて冠雪するもその後は全く雪が降らないという事例もあったりするので富士山の冬を告げる意味での初冠雪であればそのようなルールも当然と言えます。
そして実際そのように初冠雪発表後、最高気温が観測され初冠雪が取り消されたことがありました。
つい2年前の2021年のことです。
この時は9月7日に一旦、初冠雪が発表されるも9月20日にその年の最高気温が更新されて異例の取り消しになっています。(その後9月26日が正式な初冠雪となります)
めったにない事例という事なので異例中の異例ということだったのでしょう。
このような山における初冠雪の観測は、各地方気象台で80ほどの山で観測・記録・発表されているようです
初冠雪は、日本の冬の象徴であり、多くの人々が秋を感じる季節の象徴でもあります。
暑い夏が終わり季節の移ろいを実感できる風物詩ですね。