前回の続きです。
↑富士山は玄武岩という種類の溶岩で覆われた山であるという話を紹介しました。
今回はその話をより深掘りしていきます。
富士山は一面溶岩で覆われているのか?というと、もちろんそうではなく、岩石や礫・砂・土なども見られます。
ただ、動植物等が分解された有機物を含む土は別として、岩石・礫・砂は噴火の際、マグマがちぎれて固結したものや溶岩が砕けて破片状になったもの。
なので元々は溶岩であったものといえます。
それらを総称して火山砕屑物と呼びます。
「火砕物」や「テフラ」の方が聞き馴染みがあるかもしれません。
そして、この火砕物には「火山岩塊」「火山礫」「火山灰」と粒子の大きさによる区別があります。
火山岩塊 64mm以上
火山礫 2mm〜64mm
火山灰 2mm以下
要するに火山岩塊は比較的大きな石や岩、火山礫は小石・火山灰は砂のようなイメージです。
また、富士山における火山礫は「スコリア」と呼ばれます。
これは気泡(小さな穴)の跡がたくさん見られる軽い小石で、いわゆる「軽石」と呼ばれるものと同じものですが、一般的に軽石は白っぽい淡い色の石をさし、黒っぽい色をしたものをスコリアと呼び区別しています。
ちなみに軽石は、流紋岩や安山岩など粘性の高い溶岩で見られる火山礫で、富士山のように玄武岩マグマが噴出した山ではスコリアになります。
その他、火砕物の一種には火山弾というマグマが空中で冷えて固まった岩石もあります。その名の通り弾丸のごとく飛び、火口から数キロメートル離れた場所でも見られることがあります。
富士山を歩くと静岡県側の宝永火口から御殿場口付近では、宝永の大噴火の影響で火山灰に覆われた場所(砂走りなど)が多く見られ、山梨県側の五合目付近、お中道などではスコリアに覆われた場所が多く見られます。
富士山は現在から遡ること1万年前後の噴火で形成され、その後も噴火を繰り返す火山です。それゆえ新しい山であると言われますが、実際、土もすくなく侵食もさほど進んでいません。
そういう意味で、本来の地質を剥き出しの状態で見ることができる山です。
ぜひ、今回紹介した溶岩・スコリア・火山灰・火山弾などを実際に見て触れて観察してみてください!