富士山

富士山における高山病について【深呼吸と腹式呼吸】

2023年の富士登山の開山がスタートし連日遭難の報道がなされています。
多いのは転倒や体力の消耗など基礎体力が低いゆえのものから、発病による突然死なども起こっています。大抵は普段運動をしていない方であったり、登山初心者であったり、高齢者の方が多いようですが、登山慣れしている方でも若い方でも遭難のリスクはあります。

快適な登山への道③「山での身体トラブル」快適な登山への道、第三弾です。第三弾のテーマは「山における身体トラブル」山でのトラブル・事故として挙げられるのが、荒天・道迷い・病気、転落や滑落、そして最も身近なものとしては転倒・疲労などがあります。この身近なトラブル「転倒」「疲労」はいずれもよくある山における身体トラブルです。そのトラブルはどの様な状況で起きるのか?またなぜ起きるのか?...

中でも一番可能性があるのは【高山病】

富士山の標高は3776m
日本においてそれに次ぐ山は北岳の3193m
その標高差は583mと、富士山は日本の山において圧倒的な高さを誇ります。

富士登山者のほとんどは標高2400m付近の登山口までバスで一気に上がりそこから登山をスタートさせ、弾丸登山であればそのまま山頂・下山。
山小屋宿泊であっても3000m付近で山小屋に泊まり仮眠を取って山頂、そして下山と、基礎体力の要素だけ見てもなりハードなコースとなります。

海外の高山で、標高1500m付近の麓で1泊、続いて2700mで1泊、次は3700mと徐々に身体を高山に慣らしながら登っていく事と比べてみても富士登山の厳しさが分かります。



ではどのように登れば高山病のリスクを減らすことができるのか?
まずは酸素欠乏を防ぐこと。

意識呼吸の重要性が挙げられます。

普段の生活においては意識しなくても十分な酸素が取り込めることができますが、酸素の少ない高山においては無意識の呼吸だけでは酸素は欠乏してしまう。
そこで酸素不足を補うため意識的な呼吸をすることが必要になってきます。
つまり、体操の時などに行う深呼吸や腹式呼吸のような呼吸法です。
何ら難しいことはなく「大きく・深く・ゆっくり」とした呼吸を常に意識し実践していく。

歩いているときも、休憩中も、また睡眠中に目を覚ました時も、常に呼吸を意識していきましょう。
これだけでも高山病のリスクを減らすことができます。

それでも高山病が治まらない場合には即時下山。
それ以上の登頂は諦めてゆっくり下山していきます。



その他の高山病対策として水分補給もこまめに行ってください。脱水は高山病を誘発します。また前日の深酒や睡眠不足も同様です。

万全な態勢で富士登山に挑んでください。

参考資料

『登山の運動生理学とトレーニング学』

 

ABOUT ME
富士山ガイド竹沢
静岡県裾野市在住。 富士山に暮らす富士山ガイド 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ