お勉強

富士山を学ぶ:浅間神社

富士山の信仰について学んでいきます。

富士山の信仰に関わるキーワードとしてここまで「修験道」「富士講」について学んできました。

富士山を学ぶ:富士講現在、富士山には日本のみならず世界中から20万人を超える登山者が毎年訪れます。かつては修験道の山として限られた人しか登る事のなかった富士山、それが庶民にも広がり多くの人々が富士山の登頂を目指す一代ブームが巻き起こったのが江戸時代です。富士山を信仰し祈願のため富士山頂を目指すグループ「富士講」がきっかけとなっています。...

そして今回は富士講とも深く関係する「浅間神社」(せんげんじんじゃ)について学んでいきます。

浅間神社は噴火する山をつかさどる神、浅間大神(あさまのおおかみ)を祀る神社として、山の噴火、主に富士山の噴火を鎮めるために建立された神社といわれています。

浅間神社は全国に分布しておりその数は約1300社。富士山の麓や、富士山を展望できる関東や東海に集中しています。
最も多く社があるのは千葉県、続いて埼玉県、そして富士山の麓、静岡県です。

その1300社に及ぶ浅間神社の総本宮が静岡県富士宮市に位置し、世界遺産構成資産の一つである「富士山本宮浅間大社」(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)です。
この大社の奥宮は富士山頂に鎮座されており、その関係から富士山の八合目以上(登山道や旧富士山測候所などは除く)の土地は浅間大社のものとされています。

また、富士山の構成資産となっている浅間神社は、浅間大社含め八社が登録されておりその多くが登拝道の起点となっています。

「北口本宮富士浅間神社」(きたぐちほんぐうぐじせんげんじんじゃ)富士山の北麓、山梨県富士吉田市に位置し、吉田登山道の起点となる神社で富士講の人気とともに登山道の中心地になりました。

「富士御室浅間神社」(ふじおむろせんげんじんじゃ)山宮と里宮があり、山宮は吉田登拝道の二合目に祀られ、里宮は河口湖南岸の勝山に鎮座。富士山中に最初にできた社といわれています。

「河口浅間神社」(かわぐちあさまじんじゃ)御坂峠から旧鎌倉往還を下ってきた河口湖の北側に鎮座。「せんげん」ではなく浅間の古名である「あさま」と読み、平安時代の貞観の大噴火を鎮めるために建立されました。

「東口本宮富士浅間神社」(ひがしぐちほんぐうぐじせんげんじんじゃ)静岡県駿東郡小山町須走に位置する須走登山道の起点。境内には富士講の石碑が立ち並びます。通称、須走浅間神社

「須山浅間神社」(すやませんげんじんじゃ)静岡県裾野市須山に位置する浅間神社。大宮、吉田口登拝道に次いで古いと言われる須走口登山道の起点。「富士山南口下宮」ともいいます。

「山宮浅間神社」(やまみやせんげんじんじゃ)静岡県内最古の浅間神社と伝わる富士山を遥拝する神社。境内には本殿に該当する建築物はありません。静岡県富士宮市山宮に位置。

「村山浅間神社」(むらやませんげんじんじゃ)富士修験道の始まりともいわれる神社で、かつては修験道の中心地として多くの修験者で栄えました。静岡県富士宮市元村山に位置。

以上、いずれも富士山信仰の根幹をなす遺跡として重要な役割を担っています。

そしてこのほとんどの浅間神社において祀られている神様は浅間大神こと木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)です。

木花咲耶姫命は日本神話に登場する美しい女神で、天照大神の孫である瓊瓊杵尊(にぎぎのみこと)と結婚し一夜で子供を身ごもります。そのことから瓊瓊杵尊より貞操を疑われ、身の潔白を晴らすため燃えさかる炎の中で3人の男の子を出産します。この話より火に強い、火に負けない神様として、火山である富士山に祀られるようになったようです。
また、木花咲耶姫命は「火の神」と言われることが多いですが富士山本宮浅間大社の社伝では「水の神」とされています。

そして、一説によると木花咲耶姫命が富士山に祀られるようになったのは江戸時代以降といわれ、それ以前の鎌倉後期~江戸時代初期まではあのかぐや姫が富士山の祭神であったともいわれています。

さらにさかのぼり、ヤマト王権のころより噴火を繰り返してきた富士山、その時代から鎮火祈願を目的に浅間社が造られ浅間神が祀られていました。
その後浅間神は浅間大神に昇格、噴火の度にその格式そして畏怖の念はおおきくなっていきます。
そして奈良時代末期から始まる神仏習合の影響により、平安時代末ごろからは浅間大神は浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ)と称されるようになります。
その後は前述したとおりです。

富士山に祀られる神様は時代によってその名も姿も変化してきましたが、古来より富士山はその秀麗で威風堂々とした山体自体が信仰の対象となる神体山(しんたいさん)であり、今も昔も変わることなく多くの人々から敬われ愛されてきた日本一の山であることに変わりはありません。

そういう意味でも、富士山が信仰の対象として顕著な普遍的価値を持つ山であるのに相応しいといえるのでしょうね。

参考資料

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インタープリター竹沢
静岡県裾野市在住。 人と自然をつなぐインタープリターでありたい。 富士山エコネット認定 エコツアーガイド 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ