とある夏の夜。
深夜に帰宅すると
ヒィ~
ヒィ~
ヒィ~
という不気味で寂しげな音色が森から聞こえてきます。
虫の音色とはあきらかに異なる、この音色の正体は??
実は、鳥さんの鳴き声なのです。
ヒィ~
ヒィ~
ヒィ~
実に寂しげな音色。
「トラツグミ」とよばれる鳥のさえずりです。
トラツグミは夕暮れから未明まで主に夜間にさえずる鳥でこの口笛を思わせるような独特の声から、かつてはヌエと呼ばれる妖怪がその正体では??と考えられていた時代もありました。
実際のトラツグミはその名が示す通り、全身が黄色と黒の虎模様で、平地から山地の暗い林に生息して主に地上で採食します。
頭を振りながらくちばしで落ち葉をどけて、昆虫類やミミズを採食します。
また、危険を感じた時にはじっと木の枝にとどまり、営巣も樹上で行います。
そして夜間、または暗く曇った昼間にその鳴き声が聞かれます。
日本全国の林に生息し樹木の多い暗い森を好み、日本以外ではシベリア南東部からインドやオーストラリアにかけて分布します。
ちなみにヌエの姿は、猿の顔、狸の胴体、虎の手足に、尾は蛇という何とも不気味というか不思議な姿の妖怪として描かれていて、平安時代頃に出現??したといわれています。
一般的には、平家物語における「源頼政の鵺退治」がよく知られているところですが、その他の伝記などでも登場しております。
ゲゲゲの鬼太郎などのアニメにも出てきますね!
木曽街道六十九次之内 京都 「鵺」
残念ながら実在するトラツグミという鳥さんよりも、架空の妖怪である鵺(ぬえ)の方が知名度があるわけです。
分類:スズメ目キツグミ科 大きさ:約30cm
分布・季節:北海道で夏鳥、本州~九州で留鳥
生活環境:山地~亜高山の林
鳴き声:(さえずり)ヒィ~・ヒィ~・ヒィ~(夜間)
ミミズを食すトラツグミさん。トラツグミ画像【写真AC】toraemonさんより。
鳥さん豆知識
留鳥・・・同じ地域に年間を通して生息し季節移動しない鳥。
例としては定番のスズメ・カラス・ハトなど。